Research Abstract |
【研究1】本研究の初年度である平成21年度は,画像解析ソフトを用い,主に拡大内視鏡画像の血管を抽出すためには,どのアルゴリズムが適しているかを検討した.ある一定の精度で検出できるようになったが,血管の一定の形状(閉鎖性ループ状血管)については,現時点でのアルゴリズムでは抽出に限界があることが判明した.現在,血管を抽出するアルゴリズムを改良中であり,血管の抽出が安定してできるようになった時点で,がんと非がんの特徴量を求める予定とした.血管の解析と同時に,胃拡大内視鏡像を詳細に検討すると,粘膜上皮下の血管を不透明にする上皮内の白色物質white opaque substance(WOS)が存在することを発見した.本物質は,胃病変の良悪性を鑑別診断する上で,臨床的に有用な指標となり得ることが判明した.本知見については,世界に先駆けて,学会や論文で報告し,血管に加えて,WOSも画像解析による定量的解析のターゲットにすることを研究計画に加えた. 【研究2】現在,一次抗体に,CD34,MUC5AC,HGM,MUC6,MUC2,CDX2,CD10を用い,腫瘍と非腫瘍の粘膜を染色し,拡大内視鏡で視覚化された血管の密度・形態と粘膜上皮下の血管の密度・形態や癌の粘液形質の基礎的な関連を検索した.その結果,研究1にも関連するが,上皮下に血管が存在しているにも拘わらず,腸型の形質(MUC2/CDX2/CD10)を腫瘍が有する場合は,上皮直下の血管が視覚化されていないことが判明した.本知見も従来報告がされていないので,まず,国際学会で発表し,オリジナリティーを証明するとともに,来年度に,腸型の形質を有する腫瘍で,上皮下の血管が視覚化されにくく,胃型の形質を有する腫瘍で,上皮下の血管が視覚化されやすいかの機序を検討することとした.
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