Research Abstract |
本研究の目的は,千葉大学大学院循環病態医科学における培養細胞や動物実験による基礎研究結果を基盤として,p53やWntシグナルを中心に関連因子も含めた心不全マーカーの解明を,ヒト血液サンプルを用いて明らかにすることである。 千葉大学附属病院において,症状,血液検査,胸部レントゲン,心電図,心臓超音波,胸部CTなどの検査の結果,心不全が疑われる患者様に,研究内容の説明・承諾書受諾の上,100名以上の様々な病態の心不全患者の急性期および慢性期の血液生化学スピッツ2本分(約20mL)の血液サンプルを採取し,遠心分離後得られた血清,血漿をそれぞれ-80℃に冷凍保存した。試料の扱いは連結可能匿名化したものを扱い,試料は千葉大附属病院未来開拓センター内専用冷凍庫にて分割保存している。また,これらの心不全患者の原疾患,心不全重症度,既知の心不全マーカーとして知られているBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド),肝機能,腎機能,メタボリックシンドローム関連マーカー,各種炎症マーカーの測定を行い,各パラメーターを含め,関連を解析した。 血中p53抗体については,本来は癌組織における変異p53に対するもので,循環器疾患患者において,有意な変化は認められなかったが,患者末梢血由来mRNAの発現変化をみたところ,p53および関連する因子に年齢および各種危険因子と相関する変化が認められたことから,ひき続き,これらを解析し,各患者の短期予後(1-2年での,再入院,QOL,生存率)とも合わせて関連を解析している。
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