2009 Fiscal Year Annual Research Report
III群・IV群抗不整脈薬のTdp誘発閾値と即効的治療(心臓立体マッピングによる検証)
Project/Area Number |
21590890
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
池主 雅臣 Niigata University, 医歯学系, 准教授 (40303151)
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Keywords | 不整脈 / 薬物療法 / 催不整脈効果 / マッピング / 心臓電気生理 |
Research Abstract |
抗不整脈薬を安全に使用するために、抗不整脈薬による多形性心室頻拍(TdP)の誘発閾値と予知指標、発症した場合の効果的治療を心臓立体マッピングで検証する研究を開始した。ビーグル犬を静脈麻酔下に人工呼吸管理を行って、多極針電極を用いて心室貫壁性(心内膜側・心筋中層・心外膜層)のマッピングを行った。 1.ベプリジル、E-4031、anthopleurin-A(AP-A)で薬理学的実験モデルを作成したところ、それぞれのモデルにおいて心室再分極の指標であるactivation-recovery interval(ARI)が延長し、体表面心電図のQT間隔も同時に延長した。一部の検討で用量依存性を確認した。 2.心室のARI延長程度は部位によって異なり、左室心筋中間層の延長が最も顕著であった。このためにそれぞれのモデルで心室貫壁性の再分極不均一分布が生じた。 3.E-4031モデルは交感神経緊張によって多形性心室頻拍が一部に生じた。多形性心室頻拍の発症には、心筋中間層での伝導ブロックが関与していた。AP-Aモデルでは徐脈依存性に多形性心室頻拍が生じ、その際にも心筋中間層で早期興奮の伝導ブロックが観察された。ベプリジルモデルは、交感神経刺激、徐脈負荷によって多形性心室頻拍は生じなかった。 4.心周期を延長させるとQT間隔とARIは延長したが、その程度はAP-Aモデル>E-4031モデル>ベプリジルモデルの順であった。ARIの心周期は対する変化をhyperbolic fitで解析したところE-4031モデルとベプリジルモデルに相違が見られた。 5.ペーシング治療は、AP-Aモデル>E-4031モデル>ベプリジルモデルの順で効果がみられた。 6.マグネシウム治療はAP-AモデルでARIを短縮して多形性心室頻拍を抑制した。しかし他のモデルに対する効果は異なる可能性が示唆され検討を進めている。
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[Journal Article]2009
Author(s)
池主雅臣、和泉大輔、相澤義戸
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Journal Title
分担執筆。ベプリジルの基礎と臨床。心室性不整脈に対する効果(ライフメディコム社)
Pages: 79-89
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