2009 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシンII受容体遺伝子多型が高血圧と関連して心血管事故に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
21590894
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 洋 Osaka University, 医学系研究科, 講師 (10294092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 泰彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90379206)
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Keywords | 心筋梗塞 / 高血圧 / 遺伝子多型 / アンジオテンシン |
Research Abstract |
我々は大阪大学を中心とした多施設共同研究である大阪急性冠症候群研究会の遺伝子バンクを用いて、レニンアンジオテンシン系・交感神経系の遺伝子多型と生活習慣病との関係を探索した結果、心筋梗塞発症者の中でアンジオテンシンII1型受容体(AT1R)遺伝子多型(1166A→C)を有する頻度が高血圧合併症例において有意に高いことを見出した(12.4%vs 17.8%, p=0.0029)。このAT1R(1166A→C)多型はその存在と高血圧発症に関連はないとされおり、日本の既報においてもAT1R(1166A→C)多型と高血圧発症の関連は報告されていない。今回大阪急性冠症候群研究会データベース(N=2,383)を用いてAT1R(1166A→C)多型が心筋梗塞後の心血管事故に及ぼす影響を検討したところ、AT1R(1166A→C)多型を有する高血圧症例では累積心血管事故率は上昇し、また多変量Cox解析によるリスクは高血圧非合併例では増大しないが、高血圧合併症例においては有意に増大することを明らかとした(ハザード比1.44、95%信頼区間1.01-2.06,p=0.046)。またこの結果は新たな大阪急性冠症候群研究会の新規追加1000症例においてAT1R(1166A→C)多型の追加解析を行っても同様の結果であった。なおAT1R遺伝子の翻訳はAT1R第1166塩基部位に働くマイクロRNA(MiR155)により調節される。すなわちMiR155はAT1Rの1166A部位と結合してAT1Rの翻訳を抑制するが、多型である1166Cとは結合力が弱いため翻訳の抑制は減弱する。そこで現在ヒト単球培養細胞THP1、ヒト血管内皮細胞においてMiR155を用いることによりこれらの結果がAT1R(1166A→C)多型に由来するものであることを検証中である。
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