2009 Fiscal Year Annual Research Report
血清中血管内皮リパーゼ酵素活性の測定法確立と血清HDL値の関連の検討
Project/Area Number |
21590897
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石田 達郎 Kobe University, 医学部附属病院, 准教授 (00379413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 健一 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20283880)
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Keywords | 脂質異常症 / 高比重リポ蛋白 / 血管内皮 / リパーゼ / 臨床検査 |
Research Abstract |
血管内皮リパーゼ(Endothelial lipase ; EL)はホスホリパーゼA1活性を有し、HDL中のリン脂質を選択的に分解してHDL代謝を促進する。EL発現は種々の動脈硬化惹起性刺激によって増加し、動脈硬化、高血圧、高インスリン血症などの動物モデルにおいてはEL発現が亢進し低HDL血症の原因となる。マウスでELを不活性化すると、血清HDL-C値が上昇し動脈硬化巣へのマクロファージの浸潤やコレステロールの取込みが減少し動脈硬化が抑制される。そこで、本研究ではヒト血清中のEL濃度と活性の測定法を確立し、血清HDL-C濃度との関係を明らかにすること目的とする。 ヒト血中EL濃度の測定用ELISAを確立し、血清EL濃度と血清HDL-C値との関係を検討したところ、EL濃度は血清HDL-C値と有意な逆相関関係を示したが、血清LDL-C濃度や中性脂肪濃度とは関連がなかった。また、高脂血症治療薬であるピタバスタチンは血清HDL-C値を10-12%増加させるが、血清EL濃度を減少させることが明らかとなった。すなわち、ヒトにおいてもELが血清HDL-C値の規定因子であり、スタチンのHDL上昇作用にELが関与することを示した。 ELは血清中で酵素的に切断不活性化されることが知られている。そこで活性型ELと血清HDL-C値との関係を検討するために、血清を抗EL抗体で免疫沈降した後に、その活性を蛍光標識した合成リン脂質Bis-BODIPY FL C11-PCを基質として測定する系を開発した。ヒト血中EL活性と血清HDL-C値との関係を検討したところ、EL濃度は血清HDL-C値と有意な逆相関関係を示したが、血清LDL-C濃度や中性脂肪濃度とは関連がなかった。以上より、EL活性は血清HDL-C値の規定因子であることを示した。
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Research Products
(7 results)