2010 Fiscal Year Annual Research Report
耳朶皮膚線条の成立機序と心血管疾患との関係および臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
21590900
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樋口 義洋 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (40404032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 豊樹 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (30264112)
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Keywords | 耳朶線条 / 動脈硬化 / 光学3次元皮膚計測装置 / 頸動脈超音波 / プラークスコア / 患者対照研究 |
Research Abstract |
[具体的研究内容]最新の光学3次元皮膚性状測定装置(ドイツGFM社製PRIMOS,PICO)を用い耳朶線条(Earlobe creases、以下ELC)の深さを定量化する方法を開発した。平成22年度は、本システムを用い患者対照研究を行った。ELC患者26名と対照患者20名の耳朶線条深さを測定。さらに頚部超音波エコー検査による頚動脈硬化の程度を内膜中膜複合体厚(Max-IMT)・プラークナンバー(PN)・プラークスコア(PS)の計測にて評価した。相関分析の結果、ELC深さと正の相関関係が認められた(Max-IMT;r=0.393,P=0.007、PS;r=0.560,P<0.001、PN;r=0.495,P<0.001)。ステップワイズ多変量回帰分析の結果、ELC深さを従属変数とするとPSが独立した因子と判断された(R^2=0.313,P<0.001,β=0.560,F=19.2).さらに次式ELC=134.0+24.1PSが成立することから、PSが1増加するとELCの深さが24.1μm増加するという直線式が得られた。 [意義・重要性]ELCの深さはこれまで視診で評価していたが、本研究に用いた光学3次元計測装置は直接ELC深さを計測することができるため、より詳細な検討が可能となった。ELC深さが頚動脈硬化、特にプラークの程度と正の相関関係にあることが明らかになったことから、頚動脈硬化のプラークの進展状態をELCで推測できる可能性が示唆された。小型軽量であり非接触性・短時間でELC計測可能な本システムを使用することにより、頸動脈プラークの進展した脳梗塞発症リスクの高い患者の早期発見に有用と考察される。今後は、ELC深さが頸動脈プラークの進展と強く相関していることから両者の共通の成立メカニズムの解明が必要と考えられる。
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