2011 Fiscal Year Annual Research Report
グルタチオン化蛋白を用いた新規酸化ストレスマーカーの開発とその有用性の検討
Project/Area Number |
21590902
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
池田 聡司 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (10336159)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前村 浩二 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90282649)
浦田 芳重 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30185087)
|
Keywords | 酸化ストレス / 動脈硬化 / グルタチオン / アポ蛋白B |
Research Abstract |
本研究の目的は、心血管病の発症・進展に深く関与する酸化ストレスの臨床的に有用な新規のマーカーを開発することである。そこで、我々は酸化ストレスの源である活性酸素種による蛋白のチオール基の酸化的修飾であるグルタチオン化に注目し、特に動脈硬化の促進因子であるLow-density lipoprotein (LDL)を構成するアポ蛋白Bのグルタチオン化を検討している 昨年度、グルタチオン化アポ蛋白B100に対する抗体を作成したこと、また、その酸化ストレスを比較する指標として動脈硬化の危険因子を有する患者にて陰性荷電LDLを測定したことを報告した。その陰性荷電LDLは血圧、脂質異常や糖尿病の患者において増加し、しかも比較的最近の酸化ストレス状態(検査時の状態)を反映することが分かり、その主旨の論文を投稿していることを報告していたが、その論文が平成23年度に採択された。次に我々が作成したグルタチオン化アポ蛋白Bに対する抗体を用いて、動脈硬化の危険因子を有する患者にて、その臨床的意義を検討したが、陰性荷電LDLの中でも、特に陰性荷電度が高い(酸化ストレス度が高い)分画とグルタチオン化蛋白は有意な正の相関を認めた。この結果は、本抗体の特異性などの基礎的データとともに平成23年8月に開催された日本循環器学会総会にて発表した。 現在は免疫染色にて、本抗体が動脈硬化巣でどの部位を認識しているかを確認している段階である。最終的には、この染色の結果と他の臨床データなどとの整合性を解析し、本抗体を用いた臨床的な意義、すなわち生体内における酸化ストレスを反映できる有用な指標になりうるかを検討する。そして、来年度には本研究の成果を論文化し、公表できるようにしたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の項でも述べたが、作成した抗体の特異性などの基礎的データの解析や本抗体を用いた臨床検体の解析も行えており、おおむね順調な研究の進行と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒト動脈硬化巣の本抗体を用いた免疫染色を現在、着手しているところである。その結果が予想通りであれば、他の臨床データとの整合性も認め、新規酸化ストレスマーカーとしての意義がある程度確立できるのではないかと考える。しかし、生体内の酸化ストレスは刻々と変化する可能性があり、また今までに有用なマーカーがまだ確立できていない状況を考えると、本抗体を用いた酸化ストレスマーカーが確固たる指標となるためには、患者の長期的な予後(心血管系イベント発症など)の調査が必要となると考えられる。
|
Research Products
(2 results)