2011 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈形成術前後における血小板マーカーの変動と抗血小板療法の有効性に関する検討
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21590903
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
海北 幸一 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30346978)
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Keywords | 経皮的冠動脈インターベンション / クロピドグレル / CYP2C19遺伝子多型 / VerifyNow system / 冠動脈疾患 |
Research Abstract |
平成23年度は、クロピドグレルを内服している安定労作狭心症例において、待機的PCI施行前後に血小板機能と血小板および炎症関連マーカー、心筋傷害マーカーの血中濃度の推移を測定し、CYP2C19機能喪失遺伝子群にて有意に変動するマーカーを同定した。血小板凝集能の測定は、従来の透過光測定法(LTA法)とVerifyNow Systemを用いた。さらにVWF、ADAMTS13、C40 ligand、soluble P-Selectin、IL-6、VASP(血小板凝集関連細胞骨格制御蛋白質)等の血小板および炎症関連マーカーや、高感度Troponin T等の心筋傷害マーカーの血中濃度を測定し、CYP2C19遺伝子多型の有無によって2群に分け、比較検討した。LTA法とVerifyNowにより測定した血小板凝集能はCYP2C19機能喪失遺伝子群でPCIの全経過を通して高値であった。一方、他の血小板活性化および炎症関連マーカーと心筋傷害マーカーは2群間で有意差を認めなかった。次に、単変量、多変量解析により、当患者群におけるCYP2C19機能喪失遺伝子を予測するマーカーを解析すると、LTA法とVerifyNowにより測定した血小板凝集能のみが有意な寄与因子であることが判明した。今回の結果により、CYP2C19機能喪失遺伝子の存在により抗血小板効果が減弱するクロピドグレルの有効性をモニタリングできる測定マーカーが、血小板凝集能検査のみであることが示され、特に簡易測定法であるVerifyNowシステムが、今後の実臨床の場で有用となる可能性が示唆された。
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