2010 Fiscal Year Annual Research Report
心室細動の発現メカニズムの解明:新しい心臓突然死予知法の確立に向けて
Project/Area Number |
21590909
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
池田 隆徳 杏林大学, 医学部, 教授 (80256734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 一雄 国立循環器病研究センター, 研究所・研究情報基盤管理室, 室長 (50198058)
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Keywords | 心室細動 / 心臓突然死 / 予知指標 / コンピュータシムレーション / 電気生理学的異常 |
Research Abstract |
初年(21年)度では、心室細動の発生に関与する電気生理学的指標の有用性をコンピュータシミュレーションで評価し、そのデータが動物実験で得られた心室細動中の興奮波に応用できるかをマッピング解析で検証した。その結果、心室細動の発生には再分極異常のほうが脱分極(伝導)異常に比べて関連しやすいことが示された。動物実験で得られた実際の心室細動のマッピングデータもそれを裏付ける結果であり、電気生理学的因子のなかでは再分極異常が心室細動の発現にもっとも関与することが明らかとなった。 本年(22年)度では、これまでのコンピュータシミュレーションおよび動物実験によるマッピング解析を詳細に解析した。結果としては、再分極異常を反映する因子(指標)のなかでT波の交互現象(T-wave alternans)が最も心室細動の発生・維持に関与するかことが判明した。この結果を基に、予備評価としてT-wave alternansの有用性を臨床例において評価した。対象は、植込み型除細動器が既に挿入されたハイリスク患者であり、心筋梗塞後や拡張型心筋症などの器質的心疾患患者のみならず、特発性心室細動やBrugada症候群などの非器質的病態を有する患者も含まれた。結果は、器質的心疾患患者では多くはT-wave alternans陽性であったが、非器質的病態を有する患者では逆に多くは陰性であった。以上の結果から、再分極異常を反映するT-wave alternansは、基礎疾患によって有用性が大きく異なることが明らかとなった。最終年(23年)度では、T-wave alternansのみならず、加算平均心電図によるlate potentialsやheart rate turbulenceなどの他の予知指標の有用性も臨床例で評価したいと考えている。そして、心室細動の発現(心臓突然死)を高い確率で予知できる新しい電気生理学的手法を確立したい。
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Research Products
(29 results)