2009 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞の発症にかかわる血小板活性化におけるミトコンドリアの役割の研究
Project/Area Number |
21590911
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
後藤 信哉 Tokai University, 医学部, 教授 (50225653)
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Keywords | 血小板 / ミトコンドリア / 心筋梗塞 / アテローム血栓症 / 血栓 / 動脈血栓 / 電子伝達系 |
Research Abstract |
心筋梗塞、脳梗塞などのアテローム血栓性疾患は、心臓、脳などの重要臓器を灌流する血管の血栓性閉塞により発症する。血流の豊富な動脈系における閉塞血栓の形成には血小板が重要な役割を演じる。血小板の機能は静脈より採取された血液により評価されることが多いが、実際の血小板には多くのミトコンドリアが存在し、動脈血の酸素分圧の条件ではミトコンドリアの電子伝達系を介した活発なATP産生が起こる。本年度の研究により、血管壁損傷部位に曝露されるコラーゲン、von Willebrand因子(VWF)上に動脈血を灌流した時には、静脈血を灌流した時よりも2.5±0.7倍高速であることを示した。血栓形成に至る血小板機能を、1)GPIIb/IIIaの活性化構造転化、2)細胞内カルシウム流入、3)血流条件下のコラーゲン、VWFへの血小板の接着、に分けて、ミトコンドリァアの電子伝達系が関与するメカニズムの解明を目指し研究を行った。電子伝達系の選択的阻害物質であるFCCPを用いても、1),3)は影響を受けなかった。血小板へのカルシウム流入はFCCP使用時にほぼ完全に阻害された。本年度の研究により血栓形成に至る血小板の役割のうち、カルシウム流入を介する持続的な血小板の活性化はミトコンドリアの電子伝達系によるATP産生により影響を受けることが示された。
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