2009 Fiscal Year Annual Research Report
TRAIL/DR5を介する急性冠症候群の免疫学的機序の解明
Project/Area Number |
21590912
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 加代子 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (20246482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢辺 元司 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター), 研究員 (30196331)
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Keywords | 急性冠症候群 / 免疫・炎症 / アポトーシス / 動脈硬化 |
Research Abstract |
本年度は、まず急性冠症候群(ACS)発症をきたす不安定粥腫形成に重要な役割を担うと考えられるCD4 T細胞のphenotypeを検討した。ACS末梢血より単離したCD4 T細胞はERKリン酸化を介しT細胞活性化マーカーCD69を強く発現、T細胞レセプター刺激によりTRAIL発現も正常群に比し増強していた。また血管内皮細胞にはTRAIL receptor(DR5)が冠動脈平滑筋細胞、大動脈平滑筋細胞よりmRNAおよび蛋白レベルともに強く発現していた。ACS CD4 T細胞はTRAIL/DR5を介し血管平滑筋細胞のみならず血管内皮細胞にもアポトーシスを誘導することが中和抗体を用いたアポトーシスアッセイで明らかとなり、血管糜爛さらには粥腫不安定化に寄与すると考えられた。一方、スタチンには脂質低下作用によらない心血管イベント抑制効果が知られているが、急性期ACS CD4 T細胞のCD69発現、TRAIL発現およびCD4 T細胞による血管内皮細胞アポトーシスがスタチンで抑制され、スタチンの心血管保護作用の免疫学的機序のひとつを明らかとした(Atherosclerosis 2010, in press)。また、ACS急性期に血栓吸引療法で得た冠動脈血CD4 T細胞は末梢血CD4 T細胞より血管内皮細胞障害性が強く、責任冠動脈病変の粥腫組織にCD4 T細胞は非常に多く浸潤していた。急性期および慢性期血中soluble TRAIL測定を行ったところ、soluble TRAILは病状に応じて急性期に非常に低値を示し、血管内皮細胞障害性の程度と逆相関を認めた。soluble TRAIL測定は高感度CRP測定よりもACS診断において感度・特異度ともに優れ、新しいバイオマーカーとなる可能性が示唆された。次年度は本年度の結果を踏まえ、冠動脈組織評価、soluble TRAIL測定意義の検討、およびTRAIL発現調節機序の研究を進める。
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Research Products
(5 results)