2011 Fiscal Year Annual Research Report
TRAIL/DR5を介する急性冠症候群の免疫学的機序の解明
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21590912
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 加代子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20246482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢辺 元司 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター, 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30196331)
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Keywords | 急性冠症候群 / 免疫・炎症 / 動脈硬化 / アポトーシス / 接着分子 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、ヒト冠動脈・頚動脈における粥腫を病理学的に安定粥腫と不安定粥腫に分類し、TRAIL/TRAIL receptor(DR5)発現とCD4T細胞の形質を比較検討した。不安定粥腫ではTRAIL陽性CD4T細胞浸潤、DR5発現血管平滑筋細胞、アポトーシスを多く認めた。マクロファージやCD4T細胞より産生されるTNFαは、血管平滑筋細胞にDR5発現の増強とアポトーシスを誘導し、抗TNFα抗体処理によりDR5発現とアポトーシスは抑制された。さらに急性冠症候群(ACS)患者の血栓吸引療法で得た責任冠動脈血中や粥腫には、接着分子PSGL-1陽性CD4T細胞を末梢血より多く認め、血管内皮細胞に強力にCaspase3を活性化してアポトーシスを誘導した。高脂肪食負荷ApoE^<-/->マウスで認めた著名な動脈硬化進展は、ApoE^<-/->/PSGL-1^<-/->マウスで強く抑制され、CD4T細胞浸潤も減少していた。また、ApoE^<-/->マウスでは、T細胞サブセットのうちTh1,Th17が増加し、Th2は不変でTregが減少していた。現在、ApoE^<-/->/PSGL-1^<-/->ダブルノックアウトマウスで動脈硬化が著明改善した機序について、詳細に検討を行っている。 また、昨年に引き続き、ACS患者、安定狭心症患者、コントロール患者における末梢血soluble TRAILの検討を行った。冠動脈正常なコントロール患者、安定狭心症に比較し、急性期や重症例ではsoluble TRAILは低値を示し、血管内皮細胞障害の程度と逆相関を認めた。末梢血soluble TRAIL測定はACS診断において、高感度CRP測定よりも感度・特異度ともに優れており、新しいバイオマーカーとなる可能性があると考えられた。日本人ACS患者の適正脂質管理を明らかにするため、現在当院循環器内科で登録中の大規模臨床試験HIJC-PROPER患者血清を、今後解析する予定である。
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