2011 Fiscal Year Annual Research Report
星状神経節アブレーションを用いた新しい心不全治療の試み
Project/Area Number |
21590917
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
小川 正浩 福岡大学, 医学部, 准教授 (70341485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朔 啓二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
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Keywords | 心不全 / 不整脈 / 自律神経 |
Research Abstract |
心不全はしばしば洞機能不全を合併する。我々は高頻度心室ペーシング誘発心不全犬において、ヒト心不全・マウスと共に酸化カルモジュリンキナーゼII(ox-CaMK II)が洞不全症候群のバイオマーカーであること、また洞機能不全の分子生物学的機序にox-CaMK II誘発性洞房細胞死が影響していること、CaMK II阻害が洞機能不全の予防に有用である可能性を報告(J Clin Invest. 2011;121:3277-3288)した。また同様の心不全犬の自由行動下の交感神経活動、迷走神経活動と体表面心電図の直接同時記録では、正常心機能時には全く観察されなかった洞停止・洞徐脈などの洞機能不全エピソードが心不全犬のみ観察でき、この洞停止エピソードの多くが交感神経活動亢進と突然の停止それに伴う頻脈と洞停止(オーバードライブサプレッション)により発生していることを観察した。この心不全犬は組織病理学的検討で洞結節を含む心房組織に著明な間質の線維化を呈していたが、一方で洞停止エピソードの90%以上は夜間に発生し、昼間にはほとんど観察されなかった。このことは心不全で線維化しリモデリングが進行した心房は神経リモでリングも惹起し自律神経の影響を受けて病的洞徐脈が発生することを示している。この結果から心臓に対する両側胸腔内の交感神経節(胸椎2-4レベル)をアブレーションし観察したところ、発作性心房頻拍のみならず、洞停止エピソードは有意に減少した。つまり洞機能不全の新しい機序を明らかにしたことにより、新しい治療アプローチとしてのCaMK II阻害の可能性と心臓交感神経節遮断の有用性が明らかとなった。
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Research Products
(3 results)