2010 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームと喫煙の心血管リスクにおける可溶性VEGF受容体の役割
Project/Area Number |
21590918
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
和田 啓道 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 展開医療研究部, 研究室長 (20416209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 哲子 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター・臨床研究センター), 糖尿病研究部, 研究室長 (80373512)
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / 循環器・高血圧 / 細胞・組織 / 動物 / 臨床 |
Research Abstract |
メタボリックシンドローム(MetS)は、罹患者数の多さと、生活習慣改善による効果を期待出来ることから、重点的に克服すべき心血管リスクである。しかしながらMetSから動脈硬化・心血管病が発症・進展する機序は、十分には解明されていない。肥満・MetSと心血管疾患のいずれにも血管新生とその中心分子である血管内皮増殖因子(VEGF)が深くかかわっている。我々は健常成人においてVEGFの内因性阻害因子である可溶性VEGF受容体2(sVEGFR-2)がインスリン抵抗性(HOMA-IR)に比例してMetS患者の血清において有意に上昇していることを報告した。しかしながらsVEGFR-2と心血管病の関連については不明である。そこで我々は、循環器外来受診患者の内、年齢、性別、BMIをマッチさせた、3ヶ月以上NYHAクラスが不変の心機能正常者、左室肥大患者、左室肥大を伴う収縮不全患者を対象に血清sVEGFR-2レベルを測定した。その結果sVEGFR-2レベルは左室肥大を伴う収縮不全群で有意に低下していた。sVEGFR-2の独立した規定因子は年齢、中性脂肪、左室駆出分画であり、また左室肥大の唯一の独立した規定因子はsVEGFR-2であった。すなわち、sVEGFR-2は比較的健常な集団においては心血管リスクであるインスリン抵抗性と正の相関を示すが、病的心肥大を来すようになると逆に心機能と負の相関を示すようになる可能性が示唆された。adiponectinレベルも比較的健常な(心不全のない)患者においてはインスリン抵抗性と負の相関を示すが、心不全患者ではむしろ心不全重症度と正の相関を示す。sVEGFR-2とadiponectinのいずれも、病的な心肥大の有無を分水嶺として心血管リスクとの関連が2相性である可能性が示唆された。これらの所見は心血管リスクの層別化に役立つ可能性がある。
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Research Products
(21 results)