2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームと喫煙の心血管リスクにおける可溶性VEGF受容体の役割
Project/Area Number |
21590918
|
Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
和田 啓道 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 展開医療研究部, 研究室長 (20416209)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 哲子 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 糖尿病研究部, 研究室長 (80373512)
|
Keywords | バイオマーカー / 肥満 / メタボリックシンドローム / 脂質異常 / 動脈硬化 / 血管新生 / リンパ管新生 |
Research Abstract |
肥満・メタボリックシンドローム(MetS)は罹患者数が急増しており、重点的に克服すべき心血管リスクである。しかしながら、肥満・MetSから動脈硬化・心血管病が発症・進展する機序は、十分には解明されていない。肥満の病態には血管新生が深く関与しており、その血管新生において中心的な役割を果たすのは血管内皮増殖因子A(VEGF-A)である。しかし、血中のVEGF-Aレベルが動脈硬化に与える影響はそれほど大きくないことが既に報告されている。我々は、VEGF-Aの内因性阻害因子である可溶性VEGF受容体2(sVEGFR-2)に注目し、健常成人272名のCross-sectional studyにより、血清sVEGFR-2レベルがインスリン抵抗性に比例してMetS患者血清において有意に上昇していることを報告した。また禁煙後の体重増加に伴ってsVEGFR-2レベルが上昇することも見出した。ほぼ同時期に、sVEGFR-2がリンパ管新生の中心分子であるVEGF-Cの内因性拮抗因子としてリンパ管新生に重要な役割を果たすことが報告された。しかしながら、VEGF-Cおよびリンパ管新生と肥満・MetS、あるいは動脈硬化との関連は不明であった。そこで、我々は健常成人423名のCross-sectional studyを実施してVEGF-AよりもVEGF-Cの方が脂質異常とより密接に関連していることを報告した。また、マウス動脈硬化モデルに高脂肪食負荷をするとVEGF-AよりもむしろVEGF-Cの方が、有意に血中レベルが増加し、また増大した動脈硬化プラークにおける発現も亢進することを見出した。すなわち、VEGF-AよりもVEGF-Cの方が脂質異常と動脈硬化により深く関連している可能性が示唆された。これらの発見は肥満・MetSから動脈硬化・心血管病を発症する過程で、VEGF-C経路が重要な役割を果たしている可能性を示唆するものであり、極めて興味深い。
|
Research Products
(16 results)