2011 Fiscal Year Annual Research Report
虚血心筋における脂質メディエータースフィンゴシン1リン酸(S1P)の機能解析
Project/Area Number |
21590933
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
五十嵐 淳介 香川大学, 医学部, 准教授 (20346638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小坂 博昭 香川大学, 医学部, 教授 (60158897)
橋本 剛 香川大学, 医学部, 助教 (80380153)
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Keywords | 心筋虚血 / 脂質メディエーター / スフィンゴ脂質 / 細胞内情報伝達機構 / 受容体シグナリング / caveolin-1 / サイトカイン |
Research Abstract |
血管新生促進性スフィンゴ脂質メディエータースフィンゴシン1リン酸(S1P)は循環器系細胞において多様な生理活性を惹起するため近年注目されている。当研究では虚血性心疾患におけるS1Pとその関連分子の役割を解明するととを企図して実験的検討を行った。S1Pシグナルにおいてはスフィンゴ脂質含有細胞膜マイクロドメインであるカベオラとその構成蛋白質caveolinが重要な役割を果たす。まず、心筋虚血時に産生が高まることが知られるサイトカインTGFβ1のcaveolinとS1Pシグナルへの効果を明らかにした(論文発表済)。さらに、生体ストレスとの関連が大きい糖質、鉱質ステロイドホルモンが、血管内皮においてcaveolinを誘導し、S1Pと協働して血管新生を促す成長因子VEGFによるシグナル伝達と細胞遊走を減弱させることを明らかにした(学会発表済、並びに論文投稿中)。一方S1Pは、細胞内で酵素スフィンゴシンキナーゼ(SphK)により産生されることが知られている。マウスin vivo心筋虚血再潅流モデルにおいて、SphK-1アイソフォームの遺伝子発現が著明に増加することを見いだした(未発表)。これらの結果は、虚血心筋及び冠血管において、サイトカインTGFβ1産生をはじめとするヌトレス応答系が、スフィンゴ脂質S1Pによる細胞情報伝達システムを修飾する可能性を示すものである。今後、培養心筋細胞及び実験動物の虚血心筋モデルを用いてさらに検討を進める予定である。
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