2011 Fiscal Year Annual Research Report
新たな心不全診断・治療を見据えた心不全におけるスプライシング機構の役割解明
Project/Area Number |
21590945
|
Research Institution | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
Principal Investigator |
朝倉 正紀 独立行政法人国立循環器病研究センター, 臨床研究部, 室長 (80443505)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北風 政史 独立行政法人国立循環器病研究センター, 臨床研究部, 部長 (20294069)
|
Keywords | 循環器・高血圧 / マイクロアレイ / 遺伝子 / 心不全 / スプライシング |
Research Abstract |
遺伝子発現の制御メカニズムとして、スプライシング機構が知られている。スプライシング機構と各種病態が関連することが知られていたが、近年、スプライシングパターンを網羅的に評価できるエクソンアレイ法が開発された。心不全の病態とスプライシングの関連を検討するため、我々はエクソンアレイを用いて、マウス大動脈縮窄による圧負荷心における遺伝子発現解析を行った。通常のマイクロアレイ解析では同定できない、遺伝子量に変化がなく、スプライシングのみ生じた遺伝子に焦点を当てた。解析の結果、48遺伝子が同定され、その中でMtus1(mitochondrial tumor suppressor 1)遺伝子について機能解析を行った。Mtus1は3つのvariantが報告されているが、Mtus1Aのみが有意に増加していた。Mtus1Aは他の肥大心モデル(TAC心肥大モデル、アンジオテンシンII・フェニレフリン浸透圧ポンプモデル)の解析で、壁肥厚に相関して増加しており、心肥大への関与が推測された。新生児仔ラット心筋細胞を用いて、アデノウイルスでMtus1Aを強制発現させたところ、細胞表面積の減少と蛋白合成の低下がみられ、MEK/ERKのリン酸化が減少していた。一方、siRNAを用いてMtus1Aをknockdownさせたところ、細胞表面積の増加と蛋白合成の増加がみられ、MEK/ERKのリン酸化が増強していた。このことから、Mtus1AはMEK/ERKの上流を抑制することで、心肥大を抑制することがわかった。また、我々は心筋特異的なMtus1Aトランスジェニックマウス(TG)を用いて、その機能を検討した。TGマウスでは、心筋細胞サイズと心重量の減少、心機能の低下を認めた。以上より、我々は、エクソンアレイを用いて、心肥大を抑制し、また心機能低下に関与する遺伝子Mtus1を同定した。
|