2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞老化から見た血管石灰化における長寿遺伝子Sir2の役割の解明
Project/Area Number |
21590947
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯島 勝矢 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 講師 (00334384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江頭 正人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80282630)
大田 秀隆 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (20431869)
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Keywords | 血管石灰化 / 細胞老化 / 長寿遺伝子 |
Research Abstract |
血管石灰化は高齢者における血行動態をより不安定にする現象である。また、細胞レベルの老化が加齢にともなう血管老化および血管機能障害に関与している。今回、細胞老化という観点から血管石灰化における長寿遺伝子Sirt1の役割を解明すべく、研究を進めた。腎不全に伴う高リン血症を背景とする血管中膜石灰化をモデルとして様々な実験系を組んでおり、平成21年度の進行状況として、以下の培養系実験と動物実験を中心に行った。 ●培養系実験:培養系血管平滑筋細胞の石灰化モデルを用いたSirt1の役割 培養系ヒト大動脈平滑筋細胞(HASMC)への石灰化誘導のために高リン刺激を行うと、細胞老化形質(SAβ-gal活性上昇)が惹起され、平行してSirt1蛋白発現も低下した。この変化は石灰沈着の程度と逆相関していた。また、Sirt1活性を阻害(SirtinolやsiRNAによるノックダウン)により老化形質および石灰沈着も増悪し、逆に、Sirt1活性薬であるResveratrolにより老化形質および石灰沈着が抑制されることも確認した。この機序においては、Sirt1抑制によるp21活性化が大きく関与していることが同定された。 ●動物実験:腎不全モデル動物での大動脈石灰化における細胞老化現象とSirt1の役割 アデニン含有餌により高リン血症を伴うラット腎不全モデルを作成し、最終的に大動脈中膜石灰化を誘導した。老化形質(SAβ-gal陽性)細胞の存在を検討したところ、中膜の石灰沈着部位の周囲に存在し、その程度は石灰沈着量に依存していた。また、タイムコース実験において、微細な石灰沈着が出現し始める前に老化形質をとった細胞が多く誘導されていることが確認できた。 今後、石灰化形成におけるSirt1/p21経路の関与を詳細に検討することにより、いかにSirt1活性を保つことが石灰化抑制につながり、ひいては血管弾性を維持することにつながる可能性がある。
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Research Products
(4 results)