2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞老化から見た血管石灰化における長寿遺伝子Sir2の役割の解明
Project/Area Number |
21590947
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯島 勝矢 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 准教授 (00334384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江頭 正人 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80282630)
大田 秀隆 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20431869)
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Keywords | 血管石灰化 / 細胞老化 / 長寿遺伝子 |
Research Abstract |
高齢者の血行動態をより不安定にする血管壁硬化の主たる原因である石灰沈着の分子機序を解明するため、血管平滑筋細胞における石灰化を細胞老化の観点から、特に長寿遺伝子SIRT1の役割を検討した。 【動物実験】:アデニン含有餌による高リン血症を伴う腎不全モデルラットに、メンケベルグ型大動脈中膜石灰化を誘導した。中膜の石灰沈着部位の周囲に多くの老化形質(SAβ-gal陽性)細胞が中膜の石灰化面積に依存して出現してした。時系列の検討から、より早期の段階から中膜細胞の老化形質が誘導され、遅れて微細な石灰沈着が出現された。大動脈における蛋白発現の検討では、腎不全誘導によりSIRT1発現は低下し、逆にcellcycleregulatorであるp21は著明上昇してした。 【培養実験】そこで、培養系血管平滑筋細胞に対する高リン刺激の石灰化モデルを用いて、詳細な分子機序の検討を行った。培養系ヒト大動脈平滑筋細胞(SMC)への高リン刺激による石灰化誘導で、細胞老化形質(Saβ-gal活性上昇)が惹起され、SIRT1発現は低下しp21は上昇した。この変化は石灰沈着の上昇に先行しており、腎不全モデル実験と同様の経過であった。SIRT1活性の阻害(siRNAによるknockdown)により老化形質・石灰沈着は増悪し、逆にSIRT1を過剰発現させるとは著明に抑制された。また、石灰化誘導では、SMCは骨芽細胞様形質転換(Runx2発現の上昇)が惹起され、その形質転換にはSIRT1-p21経路が大きく関わっていることがdouble knockdownの実験から確認された。また、分裂寿命による老化(replication senescence)を伴っている細胞の方が、同刺激に対する石灰化現象が過剰であることが判明し、そこにもSIRT1-p21経路が関与していた。
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Research Products
(28 results)