2009 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮カルシウム流入制御関連分子の細胞内動態イメージングとその生理的意義の解明
Project/Area Number |
21590948
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一色 政志 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特任准教授 (70302734)
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Keywords | シグナル伝達 / 細胞生物学 / 循環器・高血圧 / イメージング / マイクロドメイン |
Research Abstract |
ストア依存性カルシウム流入(SOCE)は様々な細胞で生理的に重要なシグナルを伝達する。特に血管内皮細胞においてSOCEはeNOS・NO産生を強力に活性化して血管内皮機能を制御する。最近、SOCEにおいてStim1およびOrai1が必須のタンパクとして同定されたが、血管内皮細胞における存在、機能、心血管病との関連の検討は不十分である。申請者はこれまで培養内皮細胞において共焦点顕微鏡やウエスタンプロッティングにより以下の結果を得た。1)内皮細胞においてStim1、Orai1が内因性に発現する。2)GFP-Orai1およびStim1-TagRFPを発現させた細胞は、非刺激時にはそれぞれ細胞膜及び小胞体上に比較的びまん性に存在し、細胞内Ca^<2+>ストア枯渇刺激に応じてOrai1とStim1はよりシャープな斑状の分布へとダイナミックに移行し、両者が膜直下において共局在するように変化した。3)Stim1の過剰発現、ノックダウンはSOCEをそれぞれ増大し、減弱した。一方、Stim1の発現量はATP刺激による細胞内ストアからの放出には影響を与えなかった。また、Stim1をknock downした細胞ではCa^<2+>流入刺激により誘導されるeNOSのS1179リン酸化、T497脱リン酸化のいずれも抑制された。4)更にStim1のノックダウンは、TNFα刺激によって上昇する動脈硬化関連分子LOX-1の発現をNO非依存的に亢進した。その機序としてcAMP産生の関与が示唆され、現在詳細な検討中である。 以上より細胞内Ca^<2+>ストアに応じて内皮細胞におけるStim1とOrai1はその局在をダイナミックに変化させ、両者の時・空間的な相互作用を介してSOCEに関与する。特に、Stim1は細胞外からのCa^<2+>流入量を調節し、eNOSリン酸化にリンクして内皮機能制御に関与する可能性がある。今後はin vivoでの心血管病における役割を検討するため血管内皮特異的Stim1ノックアウトマウズを作成し、その表現形を解析と血管傷害性負荷に対する反応を検討する。
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Research Products
(1 results)