2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織由来間葉系前駆細胞移植による血管新生療法の試み
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21590951
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新谷 理 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (20309777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室原 豊明 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90299503)
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Keywords | 脂肪組織由来間葉系前駆細胞 / 血管新生 / リンパ管新生 / 組織浮腫 |
Research Abstract |
平成21年度、我々は脂肪組織由来間葉系前駆細胞移植が、これまで行われてきた骨髄単核球細胞移植による血管新生療法に比較しより強力な血管新生効果を見いだすか検討した。マウス虚血骨格筋へ脂肪組織由来間葉系前駆細胞を移植すると、虚血組織における血管新生効果が増強することが明らかになった。これは、移植細胞が血管内皮細胞へ分化するのではなく、細胞および虚血骨格筋から放出されたSDF-1やVEGF-Aといった血管新生増強因子が骨髄を刺激し、末梢流血中への血管内皮前駆細胞の動員を惹起するためであることが明らかになった。これらキーサイトカインの検討で、我々はSDF-1やVEGF-Aのみならず、VEGF familyの1種であるVEGF-CやHGFも増加していることを見いだした。特にVEGF-Cは、血管新生のみならずリンパ管新生にも携わっている重要なサイトカインである。虚血に引き続いて起こる組織浮腫は、毛細血管網の破綻や組織内圧の上昇による血行障害や組織壊死を引き起こし、梗塞範囲を拡大させ機能低下や機能不全を招く。リンパ管は組織浮腫を軽減させるための重要な排管であり、脂肪組織由来間葉系前駆細胞移植が血管新生増強効果のみならずリンパ管新生増強効果をも有するならば、従来の細胞治療と比してより強力な治療効果が期待できる。我々は、脂肪組織由来間葉系前駆細胞を培養した培養上清が成熟リンパ管細胞の遊走能や増殖能を増強することをin vitro実験で確認した。今後、マウス尾部リンパ浮腫モデルを作製し、脂肪組織由来間葉系前駆細胞移植によるリンパ浮腫軽減効果を検討する。
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Research Products
(7 results)