2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織由来間葉系前駆細胞移植による血管新生療法の試み
Project/Area Number |
21590951
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新谷 理 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (20309777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室原 豊明 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90299503)
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Keywords | 脂肪組織由来間葉系前駆細胞 / 血管新生療法 / セリューションシステム / ヒト幹細胞臨床研究 |
Research Abstract |
我々は、マウス下肢虚血モデルへの脂肪組織由来培養増幅間葉系前駆細胞移植が血管新生を増強することを明らかにしたが、臨床導入の際には、セリューションシステムを用いて単離された非培養間葉系前駆細胞を使用予定である。そこで、虚血骨格筋へ脂肪組織由来非培養新鮮細胞を移植したところ、培養細胞移植同様に皮下血流および毛細血管密度の増加が認められた。さらに、前臨床試験として、大型動物での安全性確認試験を行った。ウサギ下肢虚血モデルは、遺伝子治療や細胞移植による血管新生効果を評価するために確立した良いモデルではあるが、セリューションシステムを用いた移植細胞抽出には80gもの皮下脂肪の採取が必要であり、ウサギからは採取困難である。そこで、側副血行の発達が良く下肢虚血モデルとしては不適ではあるが、ブタを用いた安全性の評価を行った。全身麻酔下に下肢虚血を作製したブタ腹部より脂肪吸引用カニューラを用いて皮下脂肪組織の採取を行なった。セリューションシステムにより間葉系前駆細胞を単離し、虚血骨格筋内への移植を行なった。これらの手技および使用機材はすべて我々が予定している臨床試験と同一のものである。細胞移植4週間後まで、皮下脂肪採取部の感染を含め特記すべき異常なく生存し、骨格筋、脳、心臓、肺、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓の肉眼的および病理学的検討や一般生化学検査においても異常所見は見られず、観血的手技を含めた移植による合併症・副作用は認めず、前臨床試験としての安全性が確認された。本研究の臨床導入については、現在、名古屋大学医学部生命倫理委員会を通過し、厚生労働省「ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会」で審議中である。
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Research Products
(9 results)