2011 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織由来間葉系前駆細胞移植による血管新生療法の試み
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21590951
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新谷 理 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (20309777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室原 豊明 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90299503)
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Keywords | 血管新生療法 / 脂肪由来間葉系前駆細胞 / リンパ管新生 / マクロファージ |
Research Abstract |
我々が臨床導入を行った「重症末梢性血管疾患に対する自己骨髄単核球細胞移植療法」は、我が国最初の循環器領域における再生医療として注目されたが、長期経過観察の結果、多数の動脈硬化危険因子を有する患者においては、移植細胞の数的不足および機能低下が原因となり、治療有効性が低下していることも明らかになった。我々は、皮下脂肪組織から分離同定された間葉系前駆細胞(ADRCs)移植が、骨髄細胞移植で救肢し得なかった重症例に対する次世代の血管新生療法となりうると考えた。既に、マウス下肢虚血モデルにおいての有効性は示しており、臨床導入に向け、大動物(ウサギ)下肢虚血モデルによる治療有効性および安全性を評価した。下肢虚血を作製されたウサギは3群に分けられ、1週間後、それぞれADRCs、骨髄細胞、生理食塩水を虚血骨格筋内へ移植した。細胞移植群では、治療2週間後より虚血/正常下腿血圧比が上昇し、4週間後の血管造影では豊富な側副血行の発達および毛細血管密度の増加が見られた。また、移植部を含め健常臓器における組織過形成を起こさない事も確認した。以上の研究成果より、臨床導入可能であると判断した。 また、我々は、ADRCsがリンパ管新生を増強するサイトカインを放出することを見いだし、既存の治療では十分な患者QOLが保たれていない難治性疾患であるリンパ浮腫に対する新規治療としての可能性についても検討した。マウス尾部リンパ浮腫モデルにおいて、ADRCs移植はリンパ管新生を増強させ、炎症細胞の浸潤を抑え、組織浮腫を軽減させることが明らかとなった。その機序として骨髄由来のM2型マクロファージの動員が関与していると考えられ、現在、検討中である。
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Research Products
(8 results)