2011 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化性プラーク破綻の新たな分子機構ーカテプシンの役割及び遺伝子治療への応用
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21590952
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
成 憲武 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (30378228)
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Keywords | プラーク破綻 / カテプシン / スタチン |
Research Abstract |
細胞外マトリックス蛋白分解酵素はプラーク・ラプチャー発症において重要な役割を果たす。 近年、システイン・プロテアーゼ(cysteine proteases)であるカテプシン(cathepsin)の粥状動脈硬化巣における高発現やその活性増加が報告されたものの、プラーク・ラプチャー発症における役割は不明である。そこで、我々はカテプシンのプラーク・ラプチャー発症への関与を提唱し、9週齢ApoE^<-/->、CatS^<-/->/ApoE^<-/->、CatK^<-/->/ApoE^<-/->やCystC^<-/->/ApoE^<-/->マウスに高脂肪食をそれぞれ12週と24週与え与えた後、慢性期動脈硬化性プラークの安定化に対するカテプシンの役割に関する検討を行った。大動脈岸部から腹部までサンプリングし、次の検討を行なった。 1)オイル染色解析より、Cats遺伝子欠損マウスでの脂肪沈着及び動脈硬化病変形成低下と内在性阻害物質遺伝子欠損での両者の増加が観察された。 2)病変部の線維膜厚さや成分などのプラーク病変に関する組織学的検討より、Cats^<-/->/ApoE^<-/->動脈硬化病変部位のコラーゲン成分沈着とエラスチン内弾性板温存とさらに、プラーク内アポトーシスした細胞(主に平滑筋細胞)と浸潤した炎症性細胞(主にマクロファージ)数も両群間の差が明らかになった。ピタバスタチンの(1mg/kg/d)の長期投与によるによる酸化ストレス、炎症性細胞浸潤や細胞死の抑制とゴラーゲン蓄積によるプラーク破綻が抑制された。 これらのことより、カテプシンは平滑筋細胞のアポトーシスやマクロファージ浸潤に深く関与し、慢性動脈硬化プラーク・ラプチャー発症において重要な役割を果たすことが明らかになった。 スタチンは、カテプシン発現や炎症性細胞浸潤の抑制を介して、臨床の慢性動脈硬化プラーク安定化に寄与すると考えられる。
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Research Products
(15 results)