2009 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化モデルのインスリン抵抗性・脂肪組織異常改善効果としてのAT2受容体機能
Project/Area Number |
21590956
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岩井 将 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00184854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 正嗣 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40150338)
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Keywords | 動脈硬化 / アンジオテンシン / 受容体 / インスリン抵抗性 / 脂肪組織 / 膵臓 / 炎症反応 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本年度は、動脈硬化モデルであるApoEKOマウスと申請者らが保有しているAT1aKO、AT2KOマウスをそれぞれ交配させることにより作製したAT1a/ApoEKOおよびAT2/ApoEKOダブルノックアウトマウスを用い、これらのマウスにおける動脈硬化性病変と脂肪組織変化を比較検討した。ApoEKOマウスはで認められる大動脈の動脈硬化性病変は、AT1a/ApoEKOマウスでは大動脈への脂肪沈着・細胞増殖ともに低下しており、AT2/ApoEKOマウスでは逆に大動脈への脂肪沈着・細胞増殖はApoEKO単独よりも増悪していた。これらマウスの内臓脂肪として、副睾丸周囲脂肪組織と後腹膜脂肪組織を採取し検討した。マウスの体重は10週齢および6が月齢においてAT1aあるいはAT2受容体ノックアウトによる差はみられなかったが、内臓脂肪重量は、AT1a/ApoEKOマウスでは減少し、AT2/ApoEKOマウスでは増加した。組織学的検討では、脂肪細胞サイズも、AT1a/ApoEKOマウスでは減少し、AT2/ApoEKOマウスでは増大した。脂肪組織よりRNAを抽出し、mRNAの発現量をリアルタイムRT-PCR法で測定すると、脂肪細胞分化関連因子である(PPARγ、C/EBP、aP2)またインスリンシグナル関連因子であるアディポネクチン、インスリン受容体、IRS-1、4型グルコース輸送タンパクの発現がAT1a/ApoEKOマウスでは増加し、AT2/ApoEKOマウスでは低下していた。これらの結果は、動脈硬化モデルは脂肪組織もメタボリック症候群にみられるような機能異常を呈しており、その異常はAT1受容体シグナルをブロックすることにより改善し、AT2受容体シグナルをブロックすることにより増悪することを示唆している。次年度はこれらの変化と動脈硬化性病変進展との関連やレニンーアンジオテンシン系の阻害による変化を検討する。
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