2010 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化モデルのインスリン抵抗性・脂肪組織異常改善効果としてのAT2受容体機能
Project/Area Number |
21590956
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岩井 将 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00184854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 正嗣 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40150338)
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Keywords | 動脈硬化 / アンジオテンシン / 受容体 / インスリン抵抗性 / 脂肪組織 / 膵臓 / 炎症反応 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の実験結果を踏まえて、レニン-アンジオテンシン(RA)系と脂肪組織機能について、メタボリック症候群での病態解析ということを念頭に置き、さらに動物モデルを用いて検討を加えた。今年度は、まずメタボリック症候群のもう一つのモデルとして、2型糖尿病モデルのKK-Ayマウスを用いて、脂肪組織に及ぼすAT1受容体ブロッカー(ARB)の効果を調べた。KK-Ayマウスは肥満・高血糖・高インスリン血症を呈するが、通常用いられる非糖尿病マウスに比して脂肪組織重量も大きく、脂肪細胞サイズも大きい。このマウスにARBを2週間投与すると、脂肪組織重量の減少と脂肪細胞サイズの縮小が見られた。さらにARB投与は脂肪組織や同じくインスリン感受性臓器の代表である骨格筋におけるグルコース取込みを増加させ、TNF-αといったインスリン抵抗性促進因子の発現を抑制し、インスリンシグナル関連因子や細胞分化促進因子の発現を増加させた。ARBは組織の酸化ストレスを軽減するが、これに対してAT2受容体ブロッカーの投与は組織の酸化ストレスを増強した。これらの結果は、アンジオテンシン受容体のうち、AT1受容体のブロックが脂肪組織機能を改善する方向に働くことを示唆するものである。さらに、AT2受容体は、AT1受容体の作用に対し拮抗的に働き、その作用を抑制することが分かった。AT1受容体シグナルは、細胞内でカルシウム動員を引き起こすことによりその作用を発現する。そこで、カルシウムチャネルブロッカーがAT1受容体ブロッカーと同様の作用をもたらすか実験を行った。カルシウムチャネルブロッカーであるニフェジピンを2型糖尿病モデルであるKK-Ayマウスに投与したところ、脂肪組織重量と脂肪細胞サイズの縮小と、脂肪細胞分化マーカーの発現増加が認められた。これらの結果は、AT1受容体シグナルがカルシウム動員を介して発現することを示唆している。
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Research Products
(5 results)