2011 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化モデルのインスリン抵抗性・脂肪組織異常改善効果としてのAT2受容体機能
Project/Area Number |
21590956
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岩井 将 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00184854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 正嗣 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40150338)
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Keywords | アンジオテンシンII / コレステロール / メタボリック症候群 / AT1受容体 / AT2受容体 / 代謝異常 / 脂肪組織 / 胆汁 |
Research Abstract |
本年度は計画書に従い、メタボリック症候群の最終的病像としての「動脈硬化」とAT1、Ar2受容体の関連を中心に検討した。我々は前年度において動脈硬化モデルマウス(ApoEKOマウス)の血中コレステロール濃度が、AT1受容体欠損により低下し、AT2受容体欠損により上昇することを見出したが、その後の検討で、AT1受容体欠損マウスでは、糞便中へのコレステロール排出が高値であり、また胆汁中のコレステロール濃度も高値であることが明らかとなった。一方、AT2受容体欠損マウスでは、糞便中へのコレステロール排出が低下しており、胆汁中のコレステロール濃度も低下していた。それぞれのマウスでは肝組織中のコレステロール濃度やコレステロール合成の律速酵素の発現は変化がないことも確認された。これらの実験結果から、AT1受容体刺激は血中コレステロール濃度を増加させ、これには\胆汁中へのコレステロール排出低下と腸管からの吸収増加が関与する可能性が示唆された。これに対し、AT2受容体刺激は拮抗的に作用することが明らかとなった。次に我々は、生活習慣病モデル確立のため、動脈硬化マウスに高コレステロール食を12週摂取させ、多臓器病変発症の有無を検討した。このマウスにおいては脂肪組織に明ちかな炎症細胞浸潤が認められ、同様の細胞浸潤は肝臓の実質と膵臓の外分泌腺部分に認められた。この結果は、脂質代謝異常のモデルを用いて、肝臓・膵臓・脂肪組織など糖脂質代謝の重要臓器に炎症性病変や機能異常を誘発することが可能であることを示唆している。また、その後の検討で、AT1受容体欠損マウスでは、これらの病変が軽減することも判明した。これらのことから、レニンーアンジオテンシン系の抑制がメタボリック症候群の発症・増悪の抑制に有効であることが示唆された。
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