2011 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎臓病に合併する高度動脈硬化症に対する創薬標的としての可溶性FLT1の研究
Project/Area Number |
21590958
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
上村 史朗 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80232792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 能彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30250260)
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Keywords | 動脈硬化 / 慢性腎臓病 / 血管新生 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
動脈硬化症を原因とする心血管病合併症は慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者での死因の第一位を占め保健衛生および医療行政における重大な問題とっている.我々は,胎盤成長因子(PlGF)の内因性拮抗物質である可溶性FLT-1は腎臓が心血管の恒常性維持のために血中に分泌する重要な分子である可能性を発見し,さらに機能の低下した腎臓での本分子の産生低下が腎不全時に加速される動脈硬化症の発症に重要な影響を及ぼすことを提唱した.本研究においては,我々がCirculation(2009;120:2470),Am J Cardiol(2009;104:1478)に報告した結果に基づいて, 1)CKD患者における観察開始時の血中PIGFおよび可溶性FLT-1濃度と長期的な心血管イベント発症との関連性を追跡すること, 2)可溶性FLT-1を選択的に欠損させたマウス(sFLT-1KO)の特徴の観察,および 3)sFLT-1KOと動脈硬化自然発症マウス(Apo-EKO)の二重欠損マウスの発現形態について検討した. CKD患者464例を対象として平均3.3年の追跡調査を行った観察研究では,観察開始時においてPIGF/可溶性FLT-1比が高値(>4.22 x 1O^<-2>)の患者では総死亡(ACD)および総心血管イベント(TCVE)の発症が低値の患者に比して有意に高いことが明らかになった(hazard ratio[HR]:3.32,95% confidence interval[CI]:1.43 to 7.72,p=0.005,and HR:2.23,95% CI:1.23 to 4.03,p=0.008,respectively). Wildマウスと比較してsFLT-1KOマウスの形質発現には明らかな変化は認められなかった.一方,sFLT-1KOとApo-EKOの二重欠損マウスの大動脈における動脈硬化病巣の形成は,Apo-E単独欠損マウスに比して有意に促進されており,内因性のsFLT-1が動脈硬化巣の形成に対して抑制的に作用していることが確認された.
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Research Products
(11 results)