2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590960
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
朔 啓二郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40183371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 孝男 琉球大学, 医学部, 教授 (70185271)
三浦 伸一郎 福岡大学, 医学部, 准教授 (20343709)
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Keywords | ApoA-1模倣ペプチド / コレステロール逆転送系 / 心筋梗塞 / 抗炎症作用 |
Research Abstract |
高比重リポ蛋白(HDL)を標的としたHDL targeted therapyが抗動脈硬化治療として注目されている。我々は、新しいApoA-I模倣ペプチドとしてFukuoka ApoA-1 mimetic peptide(FAMP)の作成に成功し、コレステロール逆転送系への効果を証明した。FAMPには多面的効果(抗炎症、血管新生、抗アポトーシスなど)も期待され、心筋梗塞後の予後改善に役立つ可能性が示唆されたため、今回、その効果を検討した。マウスを用いて心筋梗塞モデルを作製した。バッファー投与群(コントロール群)、FAMP低用量群(10mg/kg),FAMP高用量群(50mg/kg)をそれぞれ腹腔内へ投与を行い、7日後に効果を検討した。FAMP投与により総コレステロールやHDLコレステロール値は、3群間で全く差が認められず、血圧や心拍数への影響も見られなかった。梗塞サイズやアポトーシスに差は認められなかったが、FAMP高用量群の生存率の改善を認めた。MCP-1等の抗炎症作用もFAMP高用量投与群において確認された。更に、ANFやCTGF等は低用量群で有意に上昇し、心筋構造破壊を抑制、心破裂を予防する機序が血管新生作用や抗炎症作用によりもたらされている可能性が示唆された。また、In vitroにおける検討においても、FAMPをHDL分画とインキュベーションし、細胞へ投与すると、内皮細胞管腔形成促進作用および抗炎症作用(細胞からのMCP-1やIL-6の分泌抑制)が確認された。FAMPによるHDL治療は、動脈硬化の退縮のみならず、心筋梗塞の予後改善、特に、急性期での突然死予防において非常に期待される新たな治療戦略の1つであることが示唆された。
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Research Products
(7 results)