2010 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性に関与するガングリオシド(GM3)と喘息発症との関係
Project/Area Number |
21590970
|
Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大河原 雄一 東北薬科大学, 東北薬科大学薬学部, 教授 (40333801)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 勲 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (00250762)
井ノ口 仁一 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (70131810)
|
Keywords | 気管支喘息 / 肥満 / インスリン抵抗性 / ガングリオシド(GM3) |
Research Abstract |
現在、社会的・医療経済的に大きな問題となっている生活習慣病の基盤をなす肥満とインスリン抵抗性は、アレルギー性喘息の発症や重症化・難治化に関与していることが疫学的に報告され明らかになっている。従って、この機序を早急に解明することは重要な課題であり、本研究によって得られた結果は、新たな疾患概念や治療戦略を提供するものと期待される。以上のことから本研究では、食餌性(高脂肪食)肥満マウス喘息モデルを作成して肥満による喘息悪化の機序を詳細に検討するとともに、インスリン抵抗性に関与しているガングリオシド(GM3)の欠損マウスを用いて肥満やインスリン抵抗性がどのような機序でアレルギー性喘息の発症・重症化・難治化に関与しているかを明らかにすることを目的として研究を行ってきた。 平成21年度には、6週齢のオスC57/BL6マウスに対してオブアルブミン(OVA)腹腔投与と16週間の高脂肪食摂取により食餌性肥満マウス喘息モデルを作成し、実際に肥満とともに気道の炎症が増悪すること、インスリン抵抗性に関与するGM3が欠損した非肥満マウス喘息モデルでは有意に気道炎症と気道過敏性が減弱することを確認した。これを基に平成22年度はインスリン抵抗性を有するGM3欠損マウスの食餌性肥満喘息モデルを作成し、抗原吸入後の気道炎症の変化を気管支肺胞洗浄液(BALF)中の細胞数、細胞分画を調べることで検討した。その結果、GM3欠損肥満マウス喘息モデルでは対照肥満喘息モデルと比較して肥満度には有意差を認めなかったが、BALF中の総細胞数、好酸球数、リンパ球数が有意に減少していることを認めた。以上のことから肥満という身体的変化ではなく肥満の根底に存在するメタボリックな変化やそれによって生じるインスリン抵抗性や微弱な全身性慢性炎症が喘息増悪に関与していると考えられる。従って次年度では、高脂肪食によって生じるメタボリックな変化やインスリン抵抗性がどのようなメカニズムで喘息増悪に関与しているかを明らかにするため、血清とBALF中のサイトカインやアディポカインの変化、脾臓や所属リンパ節のリンパ球の反応性、肺の組織学的変化、気道反応性の変化等について検討する予定である。
|
Research Products
(6 results)