2010 Fiscal Year Annual Research Report
慢性閉塞性肺疾患の全身病態に対するエピジェネティクス制御の解明
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21590972
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
中山 勝敏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (40321989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑野 和善 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40205266)
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 基礎疾患 / 全身性炎症 / 酸化ストレス / 糖尿病 / 心血管疾患 |
Research Abstract |
《背景》慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙を主因とし気道炎症から進行性の気流制限を呈する病態であり、近年は、全身性炎症疾患と捉えられている。また、多くの全身症状(心疾患や糖尿病等)を合併するが、その詳細はまだ不明な点が多い。逆に基礎疾患背景ごとの、COPDの合併頻度、炎症・酸化状態の評価、予後の検討は重要な研究課題である。 《研究内容・意義・重要性》各内科(糖尿病代謝科、循環器内科)外来通院中で、40歳以上かつ有喫煙歴の患者を登録し、COPD合併頻度、全身炎症の程度、酸化ストレス状況、全身病態への影響等を検討した。現在80名以上が登録され、COPD合併は40%以上に上り、全国疫学調査での合併頻度(16.5%)を上回っている。病期はほとんどI/II期であり、現喫煙率が77%以上と高度であった。基礎疾患のある喫煙患者ではCOPDの合併を念頭に、禁煙指導と肺機評価が必要と考えられた。 呼吸器内科通院中の合併症のないI/II期COPD患者を対照として登録し(総計100名以上)、心疾患、糖尿病、COPDを各基礎疾患として、炎症指標・酸化ストレス指標・臓器機能を評価した。その結果、全身性炎症はスタチンの内服により低下し、酸化ストレスはCOPDの存在で約3倍にリスクが上昇し、また心疾患の存在はeGFR低下のリスクと考えられた。以上の成果を、2010年米国胸部疾患学会、Chest Forum 2011において発表した。現在、登録後の病態経過観察もおこなっている。特に、各基礎疾患の増悪、入院、死亡に関するリスク評価を検討している。これらの結果は、2011年アムステルダムでの欧州呼吸器学会にて発表予定であり、学術論文投稿準備中である。本邦における基礎疾患による全身炎症や酸化ストレス評価の報告は、ほとんどなく、各基礎疾患による全身炎症や酸化ストレスの違いが示唆されており、重要な成果と言える。
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Research Products
(26 results)