2010 Fiscal Year Annual Research Report
気道の上皮透過性制御因子の同定と、気道炎症への関与について
Project/Area Number |
21590975
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
権 寧博 日本大学, 医学部, 准教授 (80339316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羅 智靖 日本大学, 医学部, 教授 (60230851)
林 伸一 日本大学, 医学部, 助教 (20445745)
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Keywords | Heregulin / ErbB1 / ErbB3 / Tight junction / 気道上皮 / 透過性バリア |
Research Abstract |
気道上皮のバリア形成・維持に係る因子を同定し、上皮バリア形成を促進し、気道炎症を制御する新しい治療法を確立するため、気道上皮バリア形成に影響を及ぼす因子を同定するためのスクリーニング系を確立した。ヒト培養気管支上皮細胞株をTranswell-chamber上で培養し、上皮シートの物理的バリア機能をtransepithelial electric resistance及び、FITC-dextran-influxにより測定した。上皮バリアが形成される前後における遺伝子発現のプロファイリングをDNA microarrayを用いて解析し、バリア形成に関係する分子の同定を行った。さらに、これによって同定された分子を、siRNAを用いてノックダウンし、この分子がバリア形成に及ぼす影響について検討を行った。その結果、ErbB受容体ファミリーが上皮バリア機能の促進に重要な働きをしていることが明らかになった。ErbB受容体ファミリーの中で、特に、EGFRは多彩な気道上皮細胞機能に関係することが知られており、喘息気道において過剰発現しており、その発現レベルは喘息の重症度に相関することが報告されている。また、喘息の発作時においても、EGFRのリガンドであるEGFやamphiregulinが、気道分泌物中でその濃度が上昇しており、これらの上昇は喘息発作時の気道上皮傷害の修復に関係する一方、その過剰産生が気道の粘液産生や気道リモデリングに深く関係している可能性が考えられる。ErbB受容体ファミリーのひとつであるErbB3をノックダウンすると、興味深いことにEGFRリガンドによるバリア機能の促進作用が抑制されることから、EGFRとErbB3による共刺激がバリア形成に重要であることが示唆された。我々は、さらにバリア形成に重要な複数の分子を同定しており、現在その解析を行っているところである。
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Research Products
(6 results)