Research Abstract |
(1)BALB/cマウスの骨髄細胞からGM-CSFとIL-4を添加し,骨髄由来のDC(BM-DC)を分化させ,CD11c結合磁気ビーズを用いてBM-DCを精製した.このBM-DCを,LPSやCpGなどのToll-like receptor (TLR)のリガンドで成熟させ,培養上清中のtryptophan (Trp)とkynurenine (Kyn)濃度をliquid chromatography-mass spectrometry (LC-Mass)を用いて測定し,IDO活性(Trp/Kyn比)を計算した.さらに,定量RT-PCRによってBM-DCにおけるIDO mRNAの発現を検討した.LPSやCpGなどのTLRリガンドの刺激によって,培養上清中のTry/Kyn比が著明低下し,BM-DCのIDO活性が機能的に誘導されることが明らかとなった.また,定量RT-PCRでもこれらの刺激によって,mRNAレベルでのIDO発現の誘導がおきていることも確認された (2)各種TLRリガンドで刺激したBM-DCが抑制性サイトカインであるIL-10を産生することを確認した後に,IDOの選択的阻害薬1-methyl-L-tryptophan (1MT)がIL-10産生に及ぼす影響を検討した.さらに,異種リンパ球混合試験(mixed lymphochyte proliferation assay, MLR)によって,1-MT処理がBM-DCの抗原提示能に及ぼす効果を明らかにした.たBM-DCにおいては,IL-10産生が増加したが,1-MT添加によってこのIL-10産生が著明に抑制された.さらに,MLRにおいては,1-MT添加によってBM-DCの抗原提示能が有意に増強することを明らかにした.以上より,通常DCワクチンの成熟刺激として用いる各種TLRリガンドは同時にIDO発現と抑制性サイトカインIL-10産生を誘導するが,1-MT処理によって選択的にIDO活性を阻害すると,この抑制が解除され,DCワクチンの抗原提示能が高まる可能性が示唆された. (3)ヒトの結核感染症や市中肺炎において,血清中のTrpとKynの濃度をLC-Massで測定し,計算したIDO活性と予後との関連を検討し,血清IDO活性が独立した予後規定因子であることを明らかにした.
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