Research Abstract |
本研究の特色は,生体で最も強力な抗原提示細胞であるDCに,体外および体内においてその機能を増強するようなサイトカイン刺激およびシグナルを加え,BCGより優れた効果をもった全く新しいタイプの抗結核ワクチンを開発し,更にMDR-TB感染症などの治療への応用を試みることにある.今回我々は,結核菌と同じ細胞内寄生菌でより抗原性が確立されているリステリアモデルにて,生体外型細胞性免疫誘導ワクチンの開発に成功し実験を行ってきた.その結果,有効なCTL誘導および感染防御能を来すことを確認した.また,これらの機序を解析するためIL-12p40ノックアウトマウスより樹状細胞ワクチンを作製し効果を比較したところ,IL-12p40ノックアウトマウス樹状細胞投与群では有意に効果が減弱し,細胞性免疫誘導型樹状細胞ワクチンはIL-12依存性であることが示された.その後,生存率の解析においても細胞性免疫誘導型樹状細胞ワクチン投与群で有意に生存期間の延長を認めることを確認した.これらの実験結果より本年は主として,前記結果の追加実験,確証するための実験および,学会発表,論文作成を行い,先日英文雑誌に受理された(Enhancement of protective immunity against intracellular bacteria using type-1 polarized dendritic cell (DC) vaccine, Vaccine, 2012).更に我々の研究で,生体内型細胞性免疫誘導型ワクチンの癌モデルでの有効性を確認し(Cacer Immunol Immunother, 2011)感染モデルにも適応する実験を行っている.今後は引き続き,結核菌における有効性の確認およびDCワクチンのマウス再燃結核感染モデルにおける感染防御能の評価を進めるのみならず,臨床応用を目指し結核患者の細胞を用いた実験を予定している.
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