2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌に対する、癌抗原WT1を標的としたペプチドワクチン療法
Project/Area Number |
21590991
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡 芳弘 Osaka University, 医学系研究科, 講師 (20273691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 吉人 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40452388)
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Keywords | WT1 / 癌免疫療法 / 肺癌 / ペプチドワクチン |
Research Abstract |
癌抗原WT1特異的な細胞障害性Tリンパ球(CTL)はWT1を標的にした癌免疫療法(ペプチドワクチン療法など)における主たるエフェクター細胞であり、その詳細な解析は、ヒトにおける癌抗原に対する免疫応答メカニズムの解明や、さらには、より効率的な癌免疫療法の開発に寄与する。肺癌を含む種々の固形癌患者において、外来抗原に対する免疫応答などでsecondary lymphoid organとしての機能をも有すると言われている骨髄中のWT1特異的CTLの頻度や機能を詳細に解析し、末梢血中に存在するWT1特異的CTLとの比較を行った。その結果、骨髄中には末梢血に比べてより高頻度でWT1特異的CTLが存在することが見出された。また、骨髄中のWT1特異的CTLは末梢血中のそれらに比べて、未熟なphenotypeを有すること、WT1特異的な細胞障害活性能が低いこと、WT1特異的な増殖能が高いこと、などが明らかにされた。これらの結果は、骨髄中には未熟な癌抗原特異的CTLがプールされており、癌抗原に関しても骨髄はsecondary lymphoid organとしての機能を有していることが強く示唆された。 多くの非小細胞肺癌患者の血清中には健常人に比べて高力値のWT1抗体が検出された。また、高力値のWT1抗体が検出された患者は低力値の患者よりも予後がよかった。これらの結果は、肺癌細胞が発現するWT1蛋白に患者の免疫系が反応していることを示すものであり、肺癌に対するWT1ペプチドワクチン療法のrationaleとなる。 肺癌や胸腺癌などの胸部悪性疾患に対するWT1ペプチド治療を続行し、症例数をさらに蓄積した。病勢の安定化の有無などの臨床的評価は随時行っているが、免疫学的評価のためのサンプル(末梢血など)もさらに蓄積することができた。
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Research Products
(7 results)