2011 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌に対する、癌抗原WT1を標的としたペプチドワクチン療法
Project/Area Number |
21590991
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡 芳弘 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20273691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 吉人 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40452388)
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Keywords | WT1 / 肺癌 / 免疫療法 / ペプチドワクチン |
Research Abstract |
手術不能でかつ他の薬剤に抵抗性と考えられる進行期肺癌患者にWT1ペプチドワクチンを投与する臨床試験を前年度から継続して行っているが、その症例をさらに蓄積することができた。肺癌と同様に重要な胸部悪性腫瘍である胸腺癌・胸腺腫の手術不能かつ他の治療に抵抗性と考えられる症例に関しても、WT1ペプチドワクチン投与症例を蓄積することができた。また、被験者(患者)それぞれから得られた末梢血リンパ球などの検体を詳細な免疫学的解析のために保存・蓄積した。 マウスモデルを用いて、WT1ペプチドワクチンとIFN-βの併用療法は、それぞれの単独療法よりも高率に腫瘍を拒絶することを示した。その効果増強メカニズムとして、WT1特異的CTL活性の増強やNK活性の増強の関与を示唆するデータを得た。この結果は、この併用療法が臨床の場でも癌に対するすぐれた免疫療法になる可能性を示すものである。 担癌患者(固形癌)の末梢血中のWT1特異的CTLが用いているTCRのBV gene familyと健常人のそれを、それぞれのCTLをsingle cell-sortしそのTCRをsequenceすることにより解析・比較した。その結果、担癌患者のWT1特異的CTLのTCRのそれぞれのBV gene familyの使用頻度は健常人におけるそれを反映していた。これは、ある特定のBV gene familyを持つCTLが健常時における腫瘍発生に対する免疫監視だけでなく癌が形成された後の免疫的攻撃にも一定の役割を果たしている可能性など、肺癌などの固形癌患者における抗腫瘍免疫反応のメカニズムを考える上で重要な示唆を与える結果である。
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Research Products
(3 results)