2010 Fiscal Year Annual Research Report
非喫煙者肺癌モデルを用いた細気管支肺胞上皮癌より浸潤癌への進展機構の解明
Project/Area Number |
21590995
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
瀧川 奈義夫 岡山大学, 病院, 助教 (60325107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木浦 勝行 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10243502)
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Keywords | 肺腺癌 / 発癌 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
肺腺癌の前癌病変とされる異型腺腫様過形成は、末梢気道上皮の肺胞置換増殖性病変である。細気管支肺胞上皮癌(bronchioloalveolar carcinoma : BAC)は、2cm以下の肺腺癌を腫瘍内に線維化巣を認めない野口A型、肺胞虚脱型の線維化を認めるB型、活動性線維芽細胞の増生を認めるC型に分類され、A型とB型の予後は極めて良好であり、生物学的には前浸潤性病変と考えられている。A型、B型よりC型の浸潤癌に至る過程を、当科で作製したexon 19[15bp in-frame deletion (nucleotides 2242-2256) SP-C-Egfrmutant-SV40]のEGFR遺伝子改変マウスの肺腫瘍組織を用いて検討した。免疫組織染色およびWestern blottingにより、EGFRシグナル伝達経路の下流と考えられているSTAT3がEGFRと平行して動いていないことが示された。とくにEGFRは腫瘍の中心部に発現し、STAT3は腫瘍の浸潤先端部位に強く発現していることを見出した。このことはBAC型肺癌の臨床検体50例の検討で検討したところ、同様の傾向が認められた。次にSTAT3を抑制することで、腫瘍あるいは発癌を抑制することができないかを模索した。EGFR変異を有するPC-9と野生型EGFRを有するA549はいずれもJAK2/STAT3の系を抑制する小分子化合物であるJSI-124に対して感受性が高かった。すなわち、EGFR変異の有無にかかわらず、JSI-124は有効である可能性が示唆された。現在、JAK2阻害剤とEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の腫瘍抑制に対する併用効果を検討している。
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