2011 Fiscal Year Annual Research Report
非喫煙者肺癌モデルを用いた細気管支肺胞上皮癌より浸潤癌への進展機構の解明
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21590995
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
瀧川 奈義夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60325107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木浦 勝行 岡山大学, 大学病院, 教授 (10243502)
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Keywords | 肺癌 / 発癌 / EGFR |
Research Abstract |
細気管支肺胞上皮癌(BAC)パターンは肺腺癌の辺縁(進展部)で認められるが、その部位における上皮成長因子受容体(EGFR)関連シグナルについて検討した。2cm以下の小型肺癌24例中9例が非浸潤型で15例が浸潤型であった。免疫組織染色にてEGFRは腫瘍の辺縁のBACパターン部位よりも腫瘍中心部に多く発現していたが、STAT3は逆にBACパターン部位に強く発現していた。腫瘍径2cm以下の腫瘍では中心部のSTAT3の活性は浸潤型より非浸潤型で多く認められた。EGFR遺伝子変異の有無ではSTAT3の発現には差は認められなかった。EGFR遺伝子改変マウスの肺発癌モデルでは、STAT3は腫瘍中心部より辺縁のBACパターン部位により多く発現しており、2つの肺癌細胞株(EGFR遺伝子変異を有するPC-9、野生型のA549)ではJAK2/STAT3阻害剤(JSI-124)に対して同等の感受性が示された。すなわち、JSI-124のPC-9とA549における50%細胞増殖抑制濃度(IC_<50>)は、それぞれ0.026±0.004μMと0.027±0.002μMであった。JSI-124にゲフィチニブを併用すると、PC-9ではIC_<50>が0.016±0.005μMと有意に低下したが、A549ではJSI-124単剤と差は認められなかった。ウエスタンブロット法による蛋白発現を解析したところ、ゲフィチニブ投与後ではSTAT3の発現は不変であったが、JSI-124はそれを抑制した。また、EGFR依存性に増殖する肺癌ゼノグラフトモデルにおいて、microRNA-7を使用したEGFR mRNAの抑制により腫瘍縮小効果が認められた。 臨床検体、細胞株およびマウスモデルを使用した以上の結果より、癌の進展にはSTAT3が関与し、JAK2/STAT3の阻害あるいはmicroRNA-7による抑制効果が期待できることが示された。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] STAT3 expression in activating EGFR-driven adenocarcinoma of the lung2012
Author(s)
Takata Saburo, Takigawa Nagio, Segawa Yoshihiko, Kubo Toshio, Ohashi Kadoaki, Kozuki Toshiyuki, Teramoto Norihiro, Yamashita Motohiro, Toyooka Shinichi, Tanimoto Mitsune, Kiura Katsuyuki
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Journal Title
Lung Cancer
Volume: 75
Pages: 24-29
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] エクソン19欠失EGFR遺伝子変異陽性肺癌モデルに対するアファチニブの効果2011
Author(s)
二宮崇, 瀧川奈義夫, 村上斗司, 本多宣裕, 南大輔, 越智宣昭, 八杉昌幸, 久保寿夫, 市原英基, 谷本光音, 木浦勝行
Organizer
第52回日本肺癌学会総会
Place of Presentation
大阪国際会議場(大阪市)
Year and Date
2011-11-04
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[Presentation] JAK2/STAT3 induces erlotinib-resistance in lung cancer cells harboring EGFR-activating mutations2011
Author(s)
Harada Daijiro, Takigawa Nagio, Ohashi Kadoaki, Ichihara Eiki, Kubo Toshio, Takeda Hiromasa, Kashihara Hiromi, Hotta Katsuyuki, Tanimoto Mitsune, Kiura Katsuyuki
Organizer
102nd Annual Meeting of American Association for Cancer Research
Place of Presentation
Orlando, USA
Year and Date
2011-04-03