2011 Fiscal Year Annual Research Report
オステオポンチン重合体の間質性肺炎の病態形成における役割に関する研究
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21590996
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
横崎 恭之 広島大学, 保健管理センター, 准教授 (80210607)
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Keywords | オステオポンチン / トランスグルタミナーゼ / 肺線維症 / インテグリン / 重合 / 好中球 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
サイトカインの一つであるオステオポンチンは肺の線維化形成に関わっているが、本研究では特にその重合化が鍵を握るとの仮説を立て研究を進めている。 平成21年度には、オステオポンチンの重合体を作製しin vitroで好中球に対する遊走活性が存在することを見出し、その機序はインテグリンα9β1との相互作用によるものであることを明らかにした。平成22年度は、オステオポンチンを生体内(腹腔)に投与し、それが重合化し好中球を集積することを報告した。 このため、本年度は線維化につながる組織傷害の主要エフェクターである好中球が肺においてはどのようにオステオポンチンに反応集積するか観察を行った。重合オステオポンチン投与により肺内の好中球数は20倍程度増加した。一方単量体オステオポンチンの投与では上昇は2-3倍程度にとどまっていた。腹腔投与の場合は投与オステオポンチンが単量体か重合体かで集積に差はなく、この理由として我々は単量体オステオポンチン投与後に生体内で比較的早期に重合化することを報告している。ところが肺においては重合化により好中球の遊走の程度が大きく変わった事から、肺内では重合化がオステオポンチンによる好中球集積の鍵を握っていると考えられ、重合化の制御機構の詳細な解明が必要と考えられる。なお、実験日やマウス個体におけるデータの変動がより小さくなるよう、マウスの麻酔方法や気管支肺胞洗浄の手技に改良を加えて検討を重ねる予定である。 臨床検体(気管支肺胞洗浄液)における重合オステオポンチンの存在は、重合オステオポンチンと特異的な抗体が必要と考えて進めている。また、重合不能オステオポンチンを発現した遺伝子改変マウスについても交配を進めている。
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