2009 Fiscal Year Annual Research Report
CD44を標的とした中皮腫抗がん剤耐性機構の解明と治療戦略
Project/Area Number |
21591003
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高橋 和久 Juntendo University, 医学部, 教授 (80245711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勉 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40206503)
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Keywords | 中皮腫 / CD44 / ヒアルロン酸 / オステオポンチン / 抗がん剤耐性 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
悪性中皮腫はアスベストを原因とする胸腹膜などを原発とする予後不良の悪性腫瘍であり、その原因の一つに本癌腫が抗癌剤に対して極めて耐性であることが挙げられる。一方、悪性胸膜中皮腫の組織、胸水中には以前からピアルロン酸(HA)やオステオポンチン(OPN)などの細胞外マトリックス蛋白が豊富に存在し、ともにCD44のリガンドであることから、中皮腫細胞表面に発現するCD44とHAおよびOPNとの相互作用は中皮腫の病態に深く関与していると考えられる。 我々は本年度の研究においてヒト中皮腫細胞株であるACC-MESO-1にOPN遺伝子導入を行い、恒常的OPN強発現細胞株ACC-MESO-1/OPNを樹立した。ACC-MESO-1/OPNはコントロール細胞に比べて著明に各種抗癌剤(NVB, GEM, VP-16)に耐性を示し、HAへの接着も亢進した。CD44はalternative splicingにより複数のisoformができることが知られているが、興味深いことにHAとの接着を低下させることが報告されているexon 14(V10)を含むHigh Molecular weight CD44 isoformがACC-MESO-1/OPNでは著明に減少していた。またACC-MESO-1でのCD44 V10のknockdownは各種抗癌剤(NVB, GEM, VP-16)耐性を誘導した。CD44やOPNのknockdownやCD44中和抗体を用いたCD44-HA相互作用の阻害はACC-MESO-1/OPNの各種抗癌剤への多剤耐性を減弱させた。 これらの所見はCD44を発現する悪性中皮腫において、間質に存在するHAやOPNなどの細胞外マトリックスとの相互作用は抗癌剤多剤耐性の重要なメカニズムの-因であることを強く示唆するものと考える。本年度の研究成果を基にして、来年度以降は更なるCD44を介する抗癌剤耐性シグナルの解析とin vivoモデルを用いたCD44を分子標的とした抗癌剤耐性克服の試みを検討中である。
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