2010 Fiscal Year Annual Research Report
肺損傷と修復における細胞老化の役割とその分子機構の解明
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21591004
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
桑野 和善 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40205266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 勝敏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (40321989)
荒屋 潤 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90468679)
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Keywords | 肺線維症 / 肺損傷 / 老化 / アポトーシス / 肺上皮細胞 / 肺線維芽細胞 |
Research Abstract |
1) 特発性間質性肺炎における細胞老化 肺生検組織において細胞老化の指標であるSA-β-gal,p21がIPF肺胞上皮、細気管支上皮細胞に陽性であり、正常肺やCOPD肺では陰性であったことから老化とIPFの関連性が示唆された。また、IPF特異的に抗老化、抗酸化因子であるSIRT6の発現を認めた。このことは、SIRT6の発現が誘導されるものの、IPFにおいては十分でなく、SIRT6を強発現させることが治療につながる可能性が示唆された。 2) 肺上皮細胞と肺線維芽細胞の相互作用 さらにヒトprimary culture気道上皮を用いて、喫煙暴露によって酸化ストレスによる老化、炎症性サイトカインであるIL-1産生を認めた。SIRT6は、気道上皮細胞の老化、炎症性サイトカインの産生を抑制した。ヒトprimary culture線維芽細胞と共培養することによって、IL-1の線維芽細胞増殖作用を認めた。IL-1siRNAを投与すると、上皮との共培養による線維芽細胞の増殖抑制された。したがって、気道上皮の老化を抑制することによって、サイトカインの産生を低下させ、線維芽細胞の増殖を抑制できると考えられた。 2) TGF-βによる気道上皮細胞の老化 ヒトprimary culture気道上皮細胞は、TGFによって老化を誘導された。TGFを投与するとp21の発現が亢進し、SA-βgalが陽性となった。SIRT6を強発現させると、老化は抑制された。また、p21siRNAを投与すると老化は抑制され、SIRT6siRNAを投与すると老化は促進された。TGFは線維芽細胞の増殖や細胞外基質産生を促進するだけでなく、上皮細胞の老化を介して炎症性サイトカイン産生、線維化促進に働くと考えられた.これらの結果はAM J Physiolに投稿しアクセプトされた。
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Research Products
(2 results)