2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌に対するマイクロRNAを用いた薬剤感受性予測と治療法の開発
Project/Area Number |
21591008
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
清家 正博 Nippon Medical School, 医学部, 講師 (30366687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弦間 昭彦 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20234651)
峯岸 裕司 日本医科大学, 医学部, 助教 (80386234)
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Keywords | マイクロRNA / 肺癌 / 薬剤感受性 |
Research Abstract |
難治性癌の1つである肺癌の克服には、個別化医療の実践が切望されている。ヒト上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)感受性に関わるEGFR遺伝子変異の発見を契機に、薬剤感受性に関わる分子生物学的意義が明らかになってきたが、肺癌に対する既知の抗癌剤に加え続々と開発されつつある分子標的薬剤を含む薬剤選択を決定する分子生物学的法の確立は、臨床現場から期待される重要な研究と考えられる。MicroRNA(miRNA)は、約22塩基配列からなる低分子RNAの一種で、新しい転写後修飾調節機構を有し、癌抑制遺伝子や癌遺伝子の発現をコントロールし、癌の腫瘍形成や薬剤耐性などの生物学的なプロセスにおいて重要な役割を担うことが示唆されている。我々は、早くからmiRNAと発癌との関係に注目し、世界に先駆け、米国NCIとの共同研究で、肺癌の診断および予後因子になるmiRNAの同定に成功したが、次なる研究戦略として求められることは、薬剤感受性や治療戦略に関わるmiRNAの意義についてである。 本年度(平成21年度)は、肺癌細胞株30株に対する10種類の抗癌剤(CDDP,CBDCA,GEM,DTX,PAC,VNB,SN38,5-Fu,Gefitinib,Enzastaurin)の薬剤感受性試験およびmiRNA array,リン酸化抗体アレイを用いた網羅的な発現解析を行った。この結果、各抗癌剤の薬剤感受性に関与するmiRNA候補の同定に成功した。来年度(平成22年度)以降は、この薬剤感受性miRNA候補の中から、治療標的となり得る真の薬剤感受性miRNAの同定を行う予定である。さらに、miRNA array解析、リン酸化抗体アレイに加え,解析済のトランプクリプトーム解析の結果を統合し、各薬剤の薬剤感受性予測法を構築する。
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