2010 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌に対するマイクロRNAを用いた薬剤感受性予測と治療法の開発
Project/Area Number |
21591008
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
清家 正博 日本医科大学, 医学部, 講師 (30366687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弦間 昭彦 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20234651)
峯岸 裕司 日本医科大学, 医学部, 講師 (80386234)
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Keywords | マイクロRNA / 肺癌 / 薬剤感受性 |
Research Abstract |
マイクロRNA(miRNA)と発癌との関係が近年注目されている。我々は、既に米国NCIとの共同研究で、肺癌の診断および予後因子になりえるmiRNAの同定に成功したが、次なる研究戦略として求められている薬剤感受性や治療戦略に関わるmiRNAの意義について研究を計画した。 初年度(平成21年度)に、肺癌細胞株30株に対する8種類の抗癌剤(CDDP,CBDCA,GEM,DTX,PAC,VNB,CPT-11,5-Fu)と分子標的剤2剤(Gefitinib,Enzastaurin)の薬剤感受性試験およびmiRNAアレイ,リン酸化抗体アレイ、Gene-chipによる網羅的発現解析を行い、各薬剤の感受性因子候補をスクリーニングした。 本年度(平成22年度)は、これら感受性因子候補について研究を進めた。まず、8種類の抗癌剤の感受性に共通に関わる4個のmiRNA(miR-21,miR-31,miR-193b,miR-365)を明らかにした。次に、分子標的剤の1つであるPKCβ阻害剤、Enzastaurinに関して、8個の遺伝子発現プロファイルを用いた効果予測モデルを構築した。Pathway解析にて、JAK/STAT signal pathwayが薬剤感受性に重要であり、また、JAK1が、単一で効果予測マーカーになりえることを見出した。さらに、Enzastaurin感受性に関与する11個のmiRNAを同定し、この中も特に、miR-21がJAK1の発現と強い相関を示し,薬剤効果に重要な役割を果たすmiRNAであることを明らかにした。 来年度(平成23年度)は、(1)miR-21と薬剤効果に関する詳細な機能解析、(2)Enzastaurin以外の薬剤感受性miRNAの同定、(3)miR-21を含む各薬剤感受性miRNAに関するin vivoおよび臨床検体での検証、によって肺癌の新たな治療法の開発に結び付けたい。
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