2010 Fiscal Year Annual Research Report
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤獲得耐性の分子メカニズムに基づいた耐性克服研究
Project/Area Number |
21591011
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岡本 勇 近畿大学, 医学部, 准教授 (10411597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 和彦 近畿大学, 医学部, 教授 (40298964)
西尾 和人 近畿大学, 医学部, 教授 (10208134)
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Keywords | 非閉塞性肺疾患 / 肺線維症 / 呼吸器感染症 / 癌 |
Research Abstract |
EGFR遺伝子変異を有する進行非小細胞肺癌において、ゲフィチニブやエルロチニブなどのEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKIs)は約70-80%の高い奏効率を示し、この患者集団のkey drugとなっている。しかしながらほぼ全例に治療中に増悪来たし、この獲得耐性の分子メカニズムとしてEGFR T790M遺伝子変異、あるいはHGF-MET pathwayの活性化が知られている。 我々は第2世代EGFR-TKIであるBIBW2992はT790Mを持ちEGFR-TKIに耐性となった肺癌細胞株においてもEGFRのキナーゼ活性を抑制することでThymidylate Synthase (TS)の発現を抑制することを見出した。T790M耐性細胞を用いたin vitro, in vivoの実験によりBIBW2992とTSを標的とする抗癌癌剤(S-1あるいはPemetrexed)との併用は相乗効果示し、BIBW2992によるTS発現低下がその機序となっていることを示した。これは今後のこれらの薬剤の併用が、臨床上大きな問題となっているEGFR-TKIsへの獲得耐性克服の一つの方向性であることを示唆する。(Molecular Cancer Therapeutics 9(6) : 1647-1656 2010) さらに我々は、EGFR遺伝子変異をもつ肺癌細胞株(HCC827)にHGF遺伝子を導入しEGFR-TKIに対して耐性を獲得したHCC827-HGF細胞を樹立した。現在早期臨床試験が開始されているヒト化抗HGFモノクローナル抗体のTAK-701をゲフィチニブと併用することで、in vitro, in vivoの双方でHCC827-HGFに対する顕著な抗腫瘍効果を確認することが出来た。(Molecular Cancer Therapeutics 9(10) : 2785-2792 2010) これらの結果は耐性の分子メカニズムに応じた耐性克服へ向けた治療戦略開発の必要性を示すものであり、臨床的にも意義が高いと考えられる。
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Research Products
(44 results)