Research Abstract |
背景・目的:非小細胞肺癌に対する初の分子標的治療剤として世界に先駆けて日本で承認された薬剤であるゲフィチニブは、そのEGFRのチロシンキナーゼ(TK)阻害を作用機序としており、肺癌治療において重要な役割を担ってきている。このゲフィチニブの奏効例では肺癌のEGFRのTK領域において遺伝子変異が多いことが報告され、このEGFR遺伝子変異が治療効果予測因子として臨床の場で広く認識されるようになった。このEGFRの遺伝子変異に人種差が認められ日本人をはじめとした東アジア人にその遺伝子変異が多いことが報告された。本研究ではこの遺伝子変異人種差に影響を与えるEGFR遺伝子変異関連遺伝子があると予想しEGFR遺伝子変異陽性患者を研究対象とし,全ゲノムレベルのSNP解析を通してその関連遺伝子を同定することを目的とする。 方法:EGFR遺伝子変異陽性肺癌65症例の末梢血を採取,ゲノムDNAを抽出.Affymetrix社のSNP Array6.0を用いて全ゲノム90万ヶ所のSNPの遺伝子型を決定した。これらの遺伝子型を,ホモ接合ハプロタイプ法,HM on HH法を用いて解析した。 結果:HM on HH法により有意な2領域(染色体1番、染色体7番)が検出された。この2領域をさらに詳細に検討した結果、染色体1番の領域がKIF26Bを含む領域であり,染色体7番の領域がDPP6を含む領域であった。KIF26Bには患者番号1,6,26,29,34,37,45,49,50の患者が関連しており,DPP6には患者番号2,9,18,20,25,28,34,43,51,56,62が関連していた.
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