2011 Fiscal Year Annual Research Report
核細胞質間シャトル機構を標的とした小細胞肺癌の治療開発
Project/Area Number |
21591013
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Research Institution | 愛知県がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
堀尾 芳嗣 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 研究員 (30344336)
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Keywords | 小細胞肺癌 / 核細胞質間シャトル / p27 |
Research Abstract |
小細胞肺癌に対する抗がん剤のキードラッグのエトポシドや塩酸アムルビシンの標的分子であるトポイソメラーゼII alphaは核細胞質問シャトル移行し核外輸送担体CRM1が関与する(Turner JG ,et al.J Cell Science 117,3061-3071,2004)。また、小細胞肺癌において腫瘍抑制遺伝子であるp27は発現亢進しており、その意義と分子機序は明確にはなっていない。また、細胞質内p27蛋白の高発現は、CDK阻害機能の消失と浸潤性や転移能の関与する(Besson A,et al.Nature Rev Cancer 4,948-955,2004)と考えられているが明らかではない。 腫瘍抑制遺伝子であるp27は核内で、ユビキチンリガーゼSkp2の経路にて分解され、一部の小細胞肺癌株ではSkp2が高発現している。核内から細胞質への移動にはp27S10のリン酸化が比較的重要であり、細胞質内ではリン酸化p27のp27T198とp27T157が浸潤性や転移能に関与すると考えられている。細胞質内ではユビキチンリガーゼKPC1の経路にて分解される。 小細胞肺癌5株において、p27の発現はSkp2の高発現のACC-LC-172を除いて4株が高発現であった。S10のリン酸化はACC-LC-49と172が低発現であった。S10リン酸化と相関してp27のp27T198とp27T157のリン酸化が認められた。切除小細胞肺癌症例における再発や遠隔転移と細胞質内リン酸化p27蛋白の高発現との関連をみるため、当院での切除された30症例の小細胞肺癌での検討を行った。しかしながら、すべての検体で、p27S10とT157のリン酸化の強い発現を認め、細胞質内リン酸化p27発現の臨床的意義については現時点では明らかではない。また、浸潤性や転移能との関連も明らかな相関を示すことはできなかった。
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