2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591019
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
廣村 桂樹 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70292597)
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Keywords | 足細胞 / 糸球体上皮細胞 / 蛋白尿 / SIRP-α / 糖尿病性腎症 / 糖尿病 |
Research Abstract |
足細胞におけるSIRP-αの役割を検討するために、SHP-1/2結合部位を欠失させたSIRP-αを発現する変異型マウスを用いて検討を行った。メタボリックケージを用いて正確な蓄尿を行ったところ、変異型マウスで軽微ではあるが有意なアルブミン尿の増加を認めた。光顕では腎臓の有意な形態学的変化を認めず、免疫染色でも足細胞マーカーであるnephrin、synaptopodin、podocalyxinなどの発現に変化は見られなかった。しかし電顕で観察すると、変異型では足突起の平坦化が見られ、糸球体基底膜単位長あたりの足突起数の有意な減少を認めた。この足突起の平坦化は、GLEPP1というチロシンホスファターゼ欠損マウスでも報告されているものであり、チロシンホスファターゼであるSHP-1/2経路の異常でも類似のフェノタイプが出現することは大変興味深い知見である。さらに足細胞障害時におけるSIRP-αが役割を検討するため、ストレプトゾトシンによる1型糖尿病性腎症を作成したところ、以前の予備実験でみられえたものと同様に、変異型マウスでアルブミン尿の増加が確認できた。こうした結果よりSIRP-αが足細胞の形態や機能の保持に重要であることを示すことができた。またSIRP-αに関する検討と平行して、ミゾリビンによる足細胞保護作用に関する検討を進めた。ミゾリビンの免疫抑制作用における作用機序として判明しているIMPDH抑制とは別の機序によって、ピューロマイシンによる足細胞障害が抑制されることを見いだし、論文報告(Nephron Exp Nephrol, in press)を行った。ミゾリビンはヒトのネフローゼ症候群の治療にも用いられる薬剤であり、足細胞に直接的に働く可能性を示すことができた。
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Research Products
(4 results)