2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591019
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
廣村 桂樹 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70292597)
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Keywords | 足細胞 / 糸球体上皮細胞 / 蛋白尿 / SIRP-α / 糖尿病性腎症 / 糖尿病 |
Research Abstract |
本研究課題は足細胞(糸球体上皮細胞)障害とその保護の分子機序の解明を目的としたものであり、SIRP-αシグナル経路を中心に検討をすすめてきた。これまでの検討で、膜結合型蛋白であるSIRP-αの細胞内領域が欠損したSIRP-α mutantマウス(MUマウス)では、健常時でも微量なアルブミン尿の排泄を認め、また光顕ではほとんど異常を認めないが、電子顕微鏡的観察では足突起の平坦化が見られることを見いだした。さらにアドリアマイシン腎症によりアルブミン尿ならびに糸球体硬化が増悪することを明らかにした。平成22度はストレプトゾトシン惹起による1型糖尿病性腎症モデルを用いて、糖尿病性腎症におけるSIRP-αの役割について解析を進めた。野生型マウス(WTマウス)、MUマウスともに平均血糖値に差はなかったが、MUマウスではWTマウスに比べてアルブミン尿の増加がみられた(600±168 vs 90±33μg/日、MU vs WT、P<0.01)。またMUマウスではより高度な糸球体過剰濾過(CCr 0.78±0.11 vs 0.41±0.16mL/分、MU vs WT、P<0.05)、GBM肥厚(0.34±0.02±vs 0.27±0.02±0.02μm、MU vs WT、P<0.05)がみられた。一方、メサンギウム領域の変化は両群で差が見られなかった。以上よりSIRP-αの細胞内シグナル経路の遮断は、高血糖によるポドサイト障害を増強し、糸球体過剰濾過を増悪させると考えられた。さらに細胞レベルでのSIRP-αの働きを詳細に検討するために、レンチウイルスを用いたsh-RNAによるSIRP-α発現が低下した足細胞株の作成、ならびにWTとMUマウスより足細胞を単離培養し、CDK4遺伝子を導入することで細胞内領域が欠損したSIRP-αを発現する培養細胞の作成に着手し、それぞれの細胞株を獲得した。来年度はこれらの細胞株を用いて、さらに解析を進める予定である。
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Research Products
(7 results)