2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591019
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
廣村 桂樹 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70292597)
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Keywords | 内科 / 腎臓内科 / シグナル伝達 / 糸球体 / 足細胞 |
Research Abstract |
本研究課題は足細胞(糸球体上皮細胞)障害とその保護の分子機序の解明を目的としたものである。昨年度から引き続き、SIRP-αシグナル経路を中心に検討を進めた。SIRP-αの働きを細胞レベルで詳細に解析するために、野生型とSIRP-α変異型マウスより足細胞を単離培養し、CDK4遺伝子またはSV40遺伝子をそれぞれ導入することで各細胞株を樹立した。これらの細胞を用いて足細胞におけるSIRP-αの役割について、形態、遊走能、細胞障害性などについて各細胞株を比較して検討を行った。そしてこれまでのSIRP-α変異型マウスで得られた研究成果をまとめ、国際誌へ投稿し、現在revise中である。またnephrin-CreマウスとSIRPα-loxPマウスの交配を行い、足細胞特異的なSIRPα欠損マウス作成を試みた。ジェノタイプでは目的の遺伝子が交配されたマウスを得ることができ、さらにそのマウスの糸球をSIRPαで染色したところ、足細胞でのSIRPα欠失が確認できた。まだ少数例の予備実験ではあるが、足細胞特異的SIRPαマウスでもこれまで検討してきた全身性のSIRP-α変異型マウスと同様に、電子顕微鏡的観察で足細胞の形態学的異常が確認された。またSIRP-αとは別に、腎臓の分化に重要な転写因子であり、成熟腎では足細胞に強く発現されるWilms腫瘍遺伝子(WT1)に関する検討を行った。TGF-β1は足細胞のWT1発現を抑制することが報告されているが、その機序は明らかではない。近年、DNAメチル化による遺伝子発現制御が注目されている。そこで足細胞でのTGF-β1によるWT1の発現低下機序として、プロモーター領域のDNAメチル化の関与を検討した。ヒト不死化培養足細胞を用いてWT1遺伝子のプロモーター領域のメチル化を定量的メチル化特異的PCRで検討したところ、TGF-β1添加によりメチル化の増加を認めた(14.3%vs2.9%、TGF-β1有vs無)。バイサルファイトシークエンス法でも同様の結果が得られた。以上、平成23年度は足細胞におけるSIRP-αに関する検討の継続と新規にWT1に関する解析を開始した。これらの検討は足細胞の障害とその保護の分子機序解明の一助になるものと思われる。
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Research Products
(3 results)