2011 Fiscal Year Annual Research Report
卵膜由来間葉系幹細胞移植による再生医療の基礎的検討
Project/Area Number |
21591028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
猪阪 善隆 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00379166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 史郎 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70179547)
山原 研一 国立循環器病センター, 再生医療部, 室長 (50450888)
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Keywords | 幹細胞 / 間葉系幹細胞移植 / 再生医療 / 卵膜由来幹細胞 / 虚血再灌流傷害 / 尿細管細胞 / 腎炎 |
Research Abstract |
多くの研究者が腎臓の再生を目指して研究を進めており、また腎臓再生を促進する因子や幹細胞移植による部分的腎機能回復も報告されており、腎臓領域においても再生医療への期待は高まっている。その細胞ソースとして有力な骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)移植の問題点として、(1)骨髄採取は身体への侵襲を伴う(2)得られる細胞数が少量であり、移植に必要な細胞数を確保するまでに、数週間の培養期間を要するため、急性期に適用困難である(3)ドナーの年齢、疾患によっては移植に適した細胞が得られない場合がある、などがあげられる。そこで、我々は卵膜由来MSCに注目した。GFP-transgenic Lewis ratから卵膜由来MSCを分離し、Lewis ratに1X106個のMSCを経静脈的に注入し、腎臓におけるGFP陽性卵膜由来MSCを観察した。Thy-1腎炎作成2日後に、卵膜由来MSCを経静脈的、経腎動脈的に注入し、糸球体の障害修復に対して治療効果を有するか検討したところ、Thy-1腎炎における糸球体細胞外基質沈着が抑制された。また、糸球体におけるサイトカイン産生が抑制されたが、投与したMSCは、メサンジウム細胞などの糸球体構成成分への分化は認めなかった。さらに、虚血再還流モデルでも検討し、投与したMSCは、ほとんど尿細管細胞となることはなかったが、尿細管傷害を抑制することが確かめられた。その機序として、マクロファージやT細胞の浸潤の抑制、IL10分泌を介したものであることが確認できた。卵膜由来MSCは、腎臓固有細胞への分化へは、あまり寄与しないが、再生のためのサイトカイン分泌などを介して再生に寄与すると考えられる。
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